クロとシロと、時々ギン

 冷たい液体が喉を通り抜けていく。
 お酒と一緒に、さっきまでの妙な雰囲気も押し流されたような気がした。

「まぁ、プロジェクト終了って言っても一旦だからね。これからも定期的に企画依頼が来ることになっているし、また近いうちに集まってもらうことになると思うから、よろしく」

 白谷吟はいつもと変わらない口調でそう言い、ニコッと笑った。

「だったら、チームを解散する必要はないんじゃないですか?」

 すかさず萌乃が疑問を呈する。するとシロ先輩が呆れたようにため息をついた。

「今回は初めての試みだったし、様子見も兼ねてたんだよ。次に招集されるときは、今回よりもう少し規模が大きくなると思う。俺たちだけってことにはならないはずだ」

 シロ先輩の説明に納得したのか、萌乃は「なるほど」と呟いた。
 その後、私たちは和やかに会話を続けた。
 話題は専ら、私たちが関わった二組の結婚式についてだ。どちらもモデルプランとして今後も採用されることになっている。
 つまり、私たちの仕事ぶりが評価されたということだ。

「初めは大丈夫かなって思ってましたけど、終わってみるとあっという間でした」

 しみじみと言う萌乃に、私も大きく同意して首を縦に振る。
 チーム結成当初は不安しかなかったけれど、今はやり遂げた達成感の方が大きい。
 問題らしい問題もなく無事に終えることができたのは、シロ先輩と白谷吟のおかげだ。二人には感謝してもしきれない。
 仕事の話をしているうちに、徐々に酔いが回ってきたのだろうか。萌乃が少し頬を赤く染め、嬉々として語る。

「私、早く結婚したいなぁ。低価格プランなら、いくらかの資金があれば希望の式が挙げられるし。ね! 明日花さんもそう思いません?」

 酔っているせいか、普段よりテンションが高い。そんな萌乃は、私の返事を期待するような眼差しで見てくる。
 私はどう答えたものか迷う。結婚願望がないわけではない。だけど、今はまだそこまで考えられないというのが本音だ。
 とりあえず曖昧に笑って誤魔化し、萌乃の話を流す。
 その後他愛のない話が続いた。
 私はふわふわとした心地よい気分に身を任せながら、お酒を飲み続けた。