公園に向かいがてら、葵が爆弾をぶっこんでくれた。
「それにしても柊里ちゃん半袖なんだ。そうだよね、全然寒くないよね」
「え、いえ、そういうわけでは……涼しい、と思います」
涼しい、ねえ。
柊里、お前絶対寒さ感じているだろう?
「涼しい? この気温が? 全然じゃない?」
「そうですか?」
「うん、もっと冷たくならなくちゃね」
「「……」」
今、俺と柊里の目は同じように驚き、呆れていただろう。
もっと寒くてようやく寒いじゃなくて、涼しい?
「本当に涼しい?」
「はい……」
「そうかぁ、なかなか仲間には出会えないなぁ」
葵の口からぽつりと出てきた言葉。
なんとなくだけど、これは柊里の説得もあるかもしれないけれど、彼女の本音かもしれない、と思えた。
「仲間、ですか?」
「そう、同じくらいの暑がり」
「……なかなかいないんじゃあ」
「あれ? 私に近い方の柊里ちゃんにまでそう言われるかぁ〜。冬青は?」
「いないと思う」
「こっちは断言か……。もう少しさ、私が望む答えを言ってくれる人がいたっていいと思うよ?」
「無理」
「難しいです」
「二人は似ているね。寒がりと暑がりなのに」
「イレギュラーのせい」
「そうです」
「私のことを言っているの? ……一応私にもそれなりの出来事はあるんだけどなぁ」
出来事、か。
聞きたい気もするけど……やっぱり聞きたくないや。
暑がりになったきっかけみたいなものかな?
しばらく無言が続き、公園についた。
山のふもと付近にある、周りには木が生えている公園。
遊具はブランコと滑り台と砂場。
いたって普通の公園だ。
……山の斜面に洞窟…‥みたいなものがあることを除けば。
三人で過ごすなら、ここが良さそうだと思った。
正直、人もあまり来ない。
そして、洞窟ではそこまで寒さを感じない。
何だか森…‥実際は林だろうけど……その中にぽっかりと空いた空間というのが何だかとても気持ちいい。
「何か不思議な場所だね」
「でしょ?」
葵もそこを感じ取ってくれたみたいだった。
僕たちは洞窟に入り、地面に座る。
「ほら、柊里ちゃんもおいで。こっち側、ひんやりしていて気持ちいいよ」
葵は柊里にひんやりとした場所をおすすめする。
「遠慮しておきます……」
「えぇ〜、じゃあ冬青、隣座ってよ。一人だけ反対側なんて、嫌なんだけど」
「はいはい。けれど今度は柊里が一人になるけどね」
「それだったら柊里ちゃんがこっちに来ればいいだけ。私は自分一人が一人でいるのが嫌だただけだから問題なし」
僕は、荷物の中から外で使うようのブランケット取り出し、それを敷いて座る。
「なるほど。冷たいのに座りにきたのはそういうわけね」
「そう」
納得されてしまった。
家から持ってきたトランプで遊んだり、趣味のこと、この町のことについて話したりしながらも、そんなふうに、葵は柊里に本当の暑がりを見せてくれた。
正直、柊里は葵にいい思いを抱かないんじゃないか、なんて思ったりもしたけれど、別に普通に喋っているような気もする。
今後、柊里は自分の体感温度に素直になるのか、それとも頑なになるのか。
まだ、分からない。

