それは、あの山登りの日からしばらくが経った頃の雨の日だった。
葵が柊里に会いたいらしく、柊里もこの前のことがあるのか逆に乗り気で、僕の家で遊ぶことになった。
「お邪魔します……ここが冬青の家……」
「いらっしゃい」
「どうぞ!」
「ありがとう、柊里ちゃん。今日は許可してくれて」
「そんな‥‥この前は完全に私が悪かったから。それなのに会いたいって言ってくれたなら断る理由はないよ」
「もう気にしていないことだよ」
「……そうなの?」
「うん」
「良かった……。けれど、│家《うち》で良かったの?」
「うん。そのほう私は嬉しいな」
そんな葵を見て柊里は何かに気がついたのだろう。
「そっか、お兄ちゃんが原因なんだね」
「うん」
二人でなにやら納得している。
いつの間にか、僕のせいになっていた。
それから、二人の話は盛り上がり、二人だけの世界へと入って行った。
「それで、何をしたい?」
しばらく放置され、気まずくなった僕は、二人の会話を遮ってそう聞いた。
「せっかく話が盛り上がってたのに……」
「僕は盛り上がってない」
「はいはい。仕方ないなぁ」
なぜ柊里に仕方なくされなければならないのか。
「あ、これ、写真じゃん。いつの時の?」
葵がふと、棚においてあった写真に興味を持った。
「あ、それ? それは私が小学校に入学したときのだよ。5年前かな」
「そうなんだ。二人とも小さくて可愛いね」
「でしょ、この冬青なんて特に。あ、アルバム見せようか?」
「いいの!?」
「いいよ! とくとご覧あれ!」
何故かそういう話になった。
「勝手に進めないでよ。恥ずかしいんだけど」
「大丈夫、お兄ちゃんのだけじゃないから」
「いや、その僕のやつが嫌なんだって……」
「ええ〜。見たいよね?」
「うん!」
「ちょっと、葵までどうして……」
否定するも葵にも期待を裏切られ、アルバムがさらされることになった。
「これがお兄ちゃんが産まれたときでしょで、これが寝ているとき」
「可愛いねえ」
「ちょっ、せめて幼稚園生の時くらいからにしてよ!」
「はいはい。……これが入園時のお兄ちゃん。悪ガキだね」
「違うから!」
「いや、そう見えるよ?」
「で、これが……あ、私の入園時の写真じゃん。懐かしい〜」
「ここからは柊里ちゃんも出てくるんだね」
「なはず」
盛り上がっている二人と、いまいち盛り上がりに欠ける僕。
なんだかこの前山を登ったときも薄着と厚着で、わけられているなぁ、って思った気がする。
あの二人はきっと相性が良いのだろう。
「で、これが中学の体育祭の時だね」
「結構最近になってきたね」
「だね。ママもこの体育祭は来てくれたんだ」
「……そうなんだ。良かったね」
「うん!」
どうやら、そろそり見終わるらしい。
長かったなぁ。
「これで終わり!」
「おおー。見せてくれてありがとうね、柊里ちゃん」
「どういたしまして」
「ところで、お父さんは?」
葵のその言葉を聞いて、僕たちは言葉に詰まった。

