放置され令嬢と無口な氷の侯爵&雪だるま。『す』の続きが言えるまで

時刻は二三時五五分になる。

『二人とも仲良くね』

雪だるまは表情をキリリとさせた。

「はい」

フィーネは横に来たクローヴィスの手を握った。

『ケンカしても仲良くね』
「そうね。クローヴィス様には隠し事が多いので」
「業務上の秘密は言えないからな」
「そういうことじゃないです」

フィーネと雪だるまは首を横に振った。

『やっぱり心配』
「え~? じゃあ、帰らないでまだここにいる?」

フィーネはしゃがみこんで雪だるまを見つめる。

『雪の国帰ってすることある』
「それは残念ね。スラちゃんも雪の国でみんなと仲良くね」
『うん! ありがとう。フィーネ』
「ありがとう」

壁にある時計の零時の鐘が鳴った。

「スラちゃん」

雪だるまは普通の雪だるまに戻った。
フィーネの震える肩をクローヴィスが優しく包み込んだ。

「寂しくなるな」
「はい」
「はっきり言うんだな」
「私の事、忘れないって言ってくれました」
「俺の事は?」
「さあどうでしょう?」
「悲しいな」

フィーネは泣き笑いした。

「クローヴィス様の事も忘れるわけありません」
「そうだな」

クローヴィスはフィーネが泣き止んで眠るまで側に居た。