放置され令嬢と無口な氷の侯爵&雪だるま。『す』の続きが言えるまで

雪だるまを作っては並べていく。四つ作った。五つ目を作ろうとしたとき手を捕まれる。

「……フィーネ」

クローヴィスだ。走って来たのか息が荒い。

「何をしている?」
「あの子が寂しくないように雪だるまを作っています」

フィーネはボロボロ涙を流しながら雪だるまを作っていた、その光景は異様だろう。

「フィーネ、すまない。魔力が足りなくて……魔法を解いてしまった」
「……そうなのですね」

クローヴィスがフィーネに積もった雪を落としていく。

「また寂しい思いをさせてしまった」
「それよりフローゼさんのこと、ごめんなさい。いろいろ我が儘でごめんなさい」
「ああ、大丈夫だ」
「クローヴィス様……」

フィーネは想いを言葉にしようとしたが、なかなかまとまらない。

「フィーネ、秋の領地まで来てくれただろう?」
「はい」
「フィーネが助けてくれなかったら危なかった。あの後、魔力の使いすぎで、三日も寝込んでしまった」
「体は大丈夫なのですか?」

問題ないと頷くクローヴィス。

「伯爵邸に帰ろう」
「はい」
「ああ、その前に」

動かなくなった雪だるまに魔法をかけるクローヴィス。
雪だるまはバケツから飛び出して来た。

『フィーネ!』
「戻ってこられたのね!」
『まだ少し一緒にいる』
「日にちの延長はできない」
「それでもうれしいです。今度はちゃんとお別れしようね」
『うん』

クローヴィスはフィーネの手を取り歩き出す。