放置され令嬢と無口な氷の侯爵&雪だるま。『す』の続きが言えるまで

今日は天気が悪いようで、猛吹雪の中、侯爵は伯爵家を訪れた。

侯爵は氷の精霊王の加護を受けているので寒さをほとんど感じないらしい。
がっしりとした体つき、銀の髪に美しい顔立ちとアクアマリンのような瞳、肩に小さい雪だるま。

(肩に雪だるま?!)

無表情で恐い印象だったのだが、なぜかファンシーなモノがくっついている。

「初にお目にかかります、フィーネ・シャーリオンです」

フィーネは内心吹き出しそうになりながら挨拶をした。

(今日の私は氷の女、雪だるまに反応してはダメよ)

「クローヴィス・アズデジェロだ」

クローヴィスが話す度、雪だるまが揺れる、最後は顔をキリリとさせた。
フィーネはそれがおかしくて、たまらない。
どうやらこの雪だるまには意思があるようだ。

フィーネは侯爵に冷たくする作戦を実行するため、笑わず何も話さない。ただまっすぐ前を見つめた。

「……」
「……」

クローヴィスも何も話さないで無表情だ。

だけど肩にいる雪だるまは悲しそうな顔をした。
それを見てフィーネはついに吹き出し、顔を背ける。

(あの雪だるま、かわいい!)