放置され令嬢と無口な氷の侯爵&雪だるま。『す』の続きが言えるまで

ステンドグラスと暖色の照明に温かみのある木の内装。フィーネとクローヴィスの元婚約者フローゼはカフェで話すことにした。

「あの人、クローヴィスってどうして私と婚約したと思う?」
「美人だからですかね」
「そう! クローヴィスは私に一目惚れしたのよ」

フローゼはペールピンクのふわりとした髪を揺らして爽やかなミントグリーンの瞳を輝かせて言っていた。雰囲気は春を体現したような大人の女性だ。

「一目惚れ?」
「そうなの。一目惚れって遺伝子レベルで好きってことよ」
「はぁ」

フローゼはひとりで盛り上がっている。

「貴女、クローヴィスに好きって言われたことある?」
「いえ、まだ無いです」
「永遠に無いわよ?」
「え?」
「クローヴィスってそういう人なのよね~」

フローゼがクローヴィスを知ったかぶりをして来るのでフィーネは内心で少しイラついた。

「優しい人ではありますけど」

ココアを口に運んだ。

「優しくても愛してるとか言わないし、手も繋いでくれないでしょ」
「はい」
「それに一緒に居ると寒いの」
「おじさんギャグですか?」
「それもあるけど」