放置され令嬢と無口な氷の侯爵&雪だるま。『す』の続きが言えるまで

「フィーネ」

クローヴィスはフィーネの名前を呼んだ。

『フィーネ、クローヴィスの声も好き』
「ちょっと! 心を読まないで!」

恨めしく見上げるとクローヴィスも耳まで真っ赤になっている。
なんということか雪だるまが余計なことを白状していく。

「それ以上はダメ!」
「……まだあるのか? 顔と声が好きでそれ以上が?」

『次はクローヴィスの番。クローヴィスはフィーネがかわいい』
「……そうなの?」
『クローヴィスはフィーネと居たい』
「何で?」
『この三年間考えてた』
「……会いたいと、思っていた」

フィーネとクローヴィスは俯いてお互いを見られない。

『クローヴィスのヘタレ、いくじ無し』
「……突然の悪口ね」
「……ああ」

次に何を言われるかわからないから身構える二人。

「はじめからやり直そう」
「……はい」
「最初から雪だるまを送り込んでおけばよかった……」
「それはそれで心を読まれて困ります」
「……そうだな」

フィーネは笑い出す。

「もう気が済みました。クローヴィス様、近くまで雪像を観に行きましょう」
「許してくれるのか?」
「この子のためですけどね」

雪だるまを両手に乗せて言い訳をするフィーネ。

『フィーネ、意地っ張り』
「私は氷の女ですよ?」
「そうだな」

フィーネが胸を張って言うとクローヴィスが頷く。

ゆっくりと歩き出す二人。真新しい雪道の上には二人の足跡が続いていた。