放置され令嬢と無口な氷の侯爵&雪だるま。『す』の続きが言えるまで

『さみしいなら、呼んであげる』

雪だるまが枝の手を動かすと光の粒が舞った。

「遠慮します!」

フィーネはその枝の手をふさいだ。
雪だるまは悲しそうだ。

「ええー? なんで? さみしいなら呼べばいいのに~」

雪の精霊が尋ねる。

「そういう問題じゃないの」
「わからない~」

雪の精霊たちはそう言って解散した。

「あの人は何であなたを作ったの?」

今度はフィーネが雪だるまを問い詰める番だ。

『仲良くなりたい』
「えっ? 嘘でしょ?」
『本当』

確かにこの雪だるまとは仲良くなれそうだが、クローヴィスの本心がわからない。

「クローヴィス様は私に興味ないでしょ?」
『ん~?』

雪だるまには難しい質問だったのか首を傾げている。

『かわいいって思ってる』
「え? 何でわかるの?」
『クローヴィスの考えてることわかる』
「そうだったの?」
『フィーネのもわかる』
「それはマズいわね!!」

それで婚約破棄したがっていることを知っていたのかと思う。母親にさえも愚痴ったことがないのに。

『クローヴィス、不器用、奥手、弱虫』
「あなたそれフォローじゃなくて悪口よ?」

フィーネは思わず吹き出した。
こんな無害そうな雪だるまなのに結構言うことは言う。

「でも、良いの。謝って欲しいわけじゃないから」

フィーネはそう言って雪だるまの鼻を指でつついた。

「終わっているの。私達」

雪だるまは瞳を潤ませた。
そんな顔してもダメなものはダメだろう。この凍てついた心はそう簡単には溶けそうもない。