放置され令嬢と無口な氷の侯爵&雪だるま。『す』の続きが言えるまで

雪がしんしんと降る夜。ここは四季の国の東、氷の精霊王が見守る冬の領地アズデジェロ。

「フィーネ、十八歳のお誕生日おめでとう!」

とある伯爵邸の誕生日会を終えて、バルコニーに出ると雪の精霊達がお祝いしてくれた。

「皆、ありがとう」

でもフィーネは浮かない顔をした。

「どうしたの? また悩んでいるの?」

フィーネは十五歳の時、氷の侯爵と呼ばれる人と婚約した。
彼はこの三年の間、フィーネと一回も会っていない。

戦争の後始末が終わって落ち着いてから婚約したはずなのに、時々寄越される手紙も味気無いものだった。
当時はどんな人か気になったが、今ではもうどうでもいい。
その人が近々会いに来るそうだ。

フィーネは幸せな結婚がしたい。だから、侯爵に冷たく当たることで婚約破棄を狙うことを決めていた。

(あんな冷たい人、結婚しても上手くはいかないわ)

「そっかぁ、じゃあ上手くいくように魔法をかけてあげるね」
「えっ?」

雪の精霊は心を読んだのか、フィーネに雪の結晶の魔法をかけてくれた。

「精霊王様には内緒だよ」