きっと、夏のこと

就活で会社に向かう途中、偶然、出勤途中の牧田さんを見つけた。



こんな遠くから見ただけでわかるなんて、そんなの、きっと私ぐらいだ。



そのシルエットが少しずつ大きくなった時、私は小さく会釈した。



最初は誰かわからないみたいな顔をして、その後に、あって顔をして手を振ってくれる。



牧田さんは立ち止まることなく、
すれ違いざまに声をかけてくれた。



「なんか質問あったら、また連絡して」


疲れたような、でも変わらない笑顔と声。
私の胸の奥にある、ずっと好きだった優しいままの牧田さんだった。






声をかけようとした時、牧田さんは驚くほどすでに遠くにいた。


大好きな、ずっと追いかけていた後ろ姿も、もう探さないでというように小さかった。