御堂先生は溺愛中


「そうなんですか?」



「…うん。実は実家が自営業みたいなもんで…幼い頃は俺もそれを継ぐ気でいたんだ。」



一つずつ言葉を紡ぐ御堂に、凛は「へえ。」といつもの調子で相槌を打った。



「だけどいつからか継ぎたいって気持ちが、継がなきゃっていう強迫観念みたいなものに変わっていって。

…それが辛くて、逃げるように教師になるための大学に行ったんだ。」




そんな告白をしながら御堂は、俺ってクソダサいよな。と心の中で自嘲した。



「へえ、まあそれで教師になれちゃうのがすごいと思いますけどね。」



あまりにもいつも通りの凛に、御堂は少し拍子抜けした。



「教師って頭のいい人しかなれないし。私が今からなれって言われてもまあ無理じゃないですか?」



「そんなことないよ。」



「そんなことありますって。

まあ私には継ぐものがないのでプレッシャーとかそういうのはわかんないけど、それまで沢山努力したから先生になれたんですよ。すごいと思います。」



凛はそう素直に尊敬の意を伝えた。



まあだって、家業を継ぐために私が想像できない量の勉強をしてきてるわけで。



おんなじ高校生なのに、勉強で忙しくてバイトができなかった先生と、ただの怠惰でバイトも部活もしてない自分とはどうみても月とスッポンの差があって



逆にこっちが恥ずかしいぐらいだ。