「…私、さっき話しかけて来た男の子たちに、昔よく揶揄われていたんです。」
ゆっくり話し出す凛を、御堂は真剣な瞳で凛を見つめて「そうなんだ。」と返した。
「だから、それから、男の子が苦手で。…先生のことも、好きとか、そういう気持ちになれないんです。」
御堂の優しさに触れる度、凛はそれに応えられない、何も与えることができない自分が嫌だった。
だからいっそ、御堂に自分から離れる口実を作ってあげよう。
そう思って凛は意を決して自分の過去を告白した。
「そっかあ。」
御堂はそれだけ言うと、夏の夜空を仰いだ。
私の気持ちは変わることはない。
今日松本に会って確信した。
私はこれからもこの痛みを引きずって生きていくんだ。
そう覚悟を決めた。
だから先生、私から離れるなら今だよ。
これ以上優しさをもらっても、私はもう何もできないから。
凛はそう心の中で忠告をした。
