御堂先生は溺愛中


「…後悔しても、戻ることはできないのに、苦しくて。」



そう言う御堂の声は今にも泣き出しそうで、保健医は内心驚きながら口を開いた。



「大丈夫ですよ。

その方が運命の相手だったら、先生が何者だって受け入れてくれるし、そうじゃなかったらどんな道を選んでたって離れていくものですから。」



「はあ…。」



「きちんと話して誠実に向き合う。それが今のその方にできる最大限のことなんじゃないですか?」



「そう、ですね。」



そうだ。どっちにしろ自分の性格上黙って生きていくことなんてできない。



いつかは大野さんと向き合って、真実を話す道を選ぶだろう。



どちらの地獄を選ぶかなんて、最初からわかっている。




だけどまだ怖いんだ。



俺が真実を話した時に大野さんがどんな反応をしたって受け止められる心をまだ準備できていないんだ。




…でも大丈夫。



いつか話せるように、今は心の準備をすればいいから。




心の中で呟くと、御堂はふっと心が軽くなるのを感じた。



「ありがとう、ございます。」



御堂はカーテンの向こうの保健医にお礼を言うと、再び目を瞑った。