「…私、夏祭りの時に先生に、昔男子に揶揄われてから人を好きになれないって言ったじゃないですか。」
「え?ああ、そうだね。」
「それの、揶揄われた理由が、昔受けた手術の痕が醜く残っていて…それをキモいとか、バケモノみたいって言われたんです。」
御堂は凛の話をただ黙って聞いていた。
「今もまだその傷があって、昔のことを思い出すたびに、痛くて、怖くて。
……でも、そんな傷ごと愛してくれるって言ってくれたお兄さんがいたんです。」
凛は涙声になりながら、ゆっくりと語る。
「もう10年も前なんですけど、病院の屋上で、傷を見て泣きそうになってる私に『いつか医者になってこの傷を綺麗にする治療を見つける』『そうじゃなくてもこの傷ごと愛す』って言ってくれた人がいたんです。」
そこまで言うと、凛は御堂をまっすぐと見つめた。
「私は今でもその人をどこかで探してしまってるんです。…だから。」
凛がそこまで言いかけると、御堂は「そんな…。」と呟いた。
「僕は、それでも大野さんが…。」
