そうだ、この人は先生で。
今年からうちのクラスの英語の担当で。
名前が、えっとー…。
うんとー…。
確かにみんなに謙ちゃんって呼ばれてたんだけど、そのせいで苗字が思い出せなくて。
うーん、うーんと唸っている凛に、その男はまさか、と笑顔が消えていく。
「…もしかして、名前覚えられてない?俺。」
図星を突かれた凛は、即座に視線を床に移した。
2人の間に沈黙が流れる。
実際には1秒ほどだったが、凛にとっては恐ろしく長い時間が経ったようにも思えた。
全てを察した男は苦笑いを浮かべながら口を開いた。
「御堂、です。」
あ、そうだ。御堂先生だ。
「あ、そうですよね、御堂先生ですよね!」
ちゃんと覚えてましたとも!と言わんばかりの笑顔で誤魔化そうとする凛に、御堂はこっそりため息をついた。
