「ありがとう、大野さん。」 ヌッと物陰から出てきたその男の人に、凛はまたもやびっくりして「わあっ!」と声を上げた。 なんで私の名前を知ってるんだ? 本棚に囲まれて暗い室内で、凛はじっとその人の顔を見つめた。 うーん? 確かに見覚えのあるその顔に恐る恐る話しかけてみた。 「謙ちゃん、ですか。」 そう言う凛に、男はブハッと吹き出した。 「大野さんも、俺のこと謙ちゃんって呼ぶんだ!」 ケラケラと腹を抱えて笑うその男に、凛はだんだんと思い出してきた。