御堂先生は溺愛中


「お待たせ、乗って。」


暫くして御堂が凛の横に車を付けると、助手席の窓を開けてそう言った。

その声はいつも通り優しい声で、凛はちょっとホッとしながらも車に乗り込んだ。



「…。」


御堂が、「道案内だけしてくれる?」と言って凛が返事してから、随分と長い間沈黙が続いた。


凛は気まずさを抱えながら、でも何か会話をする気も起きず、窓の外の景色をぼーっと眺めていた。



「さっきは、ごめんね。」


不意に御堂がそう言った。



「大野さん、リレー出たかったよね。」



「…はい。」



御堂の問いかけに、凛は窓の外に視線をおいたままそう答えた。




「でもね、僕、心配で。」



そう言う御堂の声はいつもより弱々しくて、凛の良心がざわついた。




…そんなの、わかってる。




本当は先生は悪くない。




先生があの時止めてなくったって、私はリレーに出れなかったと思う。




それどころかどこかで倒れてもっと大事になってたかも。





でも、皆にあんなに期待されて、頑張ろうって言っていたのに応えらえなかった焦りで、先生に責任転嫁してたんだ。



それで、今も素直にありがとうを言えない自分が子供で、嫌いだ。




凛は目に涙を浮かべながらそう自責した。