御堂先生は溺愛中


「ぅわっ!!」


急に本棚の角から人間が飛び出してきて、思わず大きな声を上げた。


「しーっ!」


その男の人は口に人差し指を当ててそう言うと、奥の本棚の影に身を潜めた。



自分が驚かせておいて、しー!!ってなんなの!



イライラを募らせながら、凛は何なのあの人、と心の中で毒づきつつ、箒を掃き続けた。








「謙ちゃ〜ん、いないの〜?」



男の人が身を潜めるにと同時に、今度は女の子の声が図書室内に響いた。



「あ、ねえ、謙ちゃん見なかった?」



女の子のうちの1人が凛の目の前にやってくると、彼女にそう聞いた。



謙ちゃん?誰それ。



あ、まさかこの今隠れてる人のこと?



いや、でもこの人が謙ちゃんかどうかなんて私知らないしなあ。



「いや、見てないけど。」


少し迷って、凛はそう答えた。


「ふうん、そっか。」


女の子はそう言うと、案外簡単に身を引いて図書室を出て行った。