「…凛ちゃんって足速いんだね。」
クラスメイト全員の名前と、50m走のタイムが乗っている紙を見たクラスメイトがポツリとそう言った。
確かに他の女子生徒と比べてみると、だいぶ速い部類にいる凛は「あー…そうみたい。」としっくりきてないというような風に返した。
「ってか、クラスの女子で一番速いの凛ちゃんじゃん!」
誰かがそう言うと、全員でその紙を覗き込んで、次々に「本当だ。」「えーすごっ。」と声を上げた。
何かで一番になることなんて今までほとんどなかった凛は戸惑いながらも「本当だ〜…。」とどこか他人事のように言った。
「すごいね、大野さん。何か運動してんの?」
「あー、いや、中学の時陸上部で短距離やってたから、かな?」
「え!そうだったんだ!知らなかった!」
「っていうか、もう凛ちゃんが一走でいいんじゃない?」
「な!他の奴らどんどん突き放しちゃってよ!」
そう盛り上がるクラスメイトに、凛はもう何も言えなくて「あ、はい。」と受け入れることしかできなかった。
