「前も言ったかもしれないけどさ、ネガティブな感情で選んだ道だから、後悔することも多かったんだ。」
御堂はそう言うと凛の方をまっすぐ見つめた。
「でも、自分で決めた道だから頑張ろうって思えるようになってきたんだ。…大野さんにも出会えたし。」
そう優しい笑顔を浮かべて言う御堂に、凛は顔を逸らした。
「よくそんなこと、毎度毎度恥ずかしげもなく言えますね!」
せめてもの抵抗で凛はそう強い口調で言った。
「恥ずかしいよ、俺だって。25にもなって、まっすぐ気持ち伝えてるんだから。」
想像をしていなかった御堂の言葉に、凛は「え…?」と漏らした。
「でも、自分の気持ちに嘘はつきたくないからさ。好きって言える時に言っておかないと、きっといつか後悔するから。」
あまりにも真っ直ぐな気持ちに、凛は居た堪れなくなってしまって、「さっきも、言いましたけど…。」と口を開いた。
「私は先生としては尊敬してますけど、それ以上は何を言われたって保証できないです。」
「…分かってるよ、大丈夫。ただ俺が好きなだけで、大野さんに好きって言いたいだけだから。」
あまりにも優しい声色に、凛はなぜか悲しくなってしまった。
なんで先生は私のことをこんなに想ってくれるんだろう。
私はあの日ただ笑っただけなのに。
そう心の中で疑問を抱く凛は、あの日の笑顔が御堂にとってどれだけ救いになっているのかを分かっていなかった。
