オンラインゲーム『ラピスラズリ』


私は、残りの二つ『アジュールとヒロイン』『無音』を見ないで、PCの電源を切った。
直接、タクマから聞きたいと思ったから。
バイオリンの演奏と、特別な音楽第一教室の鍵が開いていた事、この情報でタクマに辿り着ける。
今まで避けていたことで、もう二度と同じような後悔はしたくない。
『接触が欲しかった。』
本当に?

タクマの言葉を何度も思い出しながら、無音の闇に身を投じ夢に落ちていく。
『未來、君をヒロインに選んだのは、接触が欲しかったから。君は現実で、俺に無音を刻んだ……2度も。偶然と、必然の様なタイミングで運命かと思うほどだよ。何から語ればいいのか、会う約束をしてから、ずっとその事だけが思考を占拠した。』
私が知らずに生み出した無音の世界。
2度あったと、貴方は言うけれど私は知らない。
タクマの作り出す世界は、無音と、かけ離れている。それは、貴方が一番よく知っている事。
私は孤独を願い、闇を望んでタクマが提供する世界に浸ったのに、光を降り注ぐ。
解放を望んでいたのに、無音の奏曲に囚われ、抜け出せない。


朝はやってくる。
皆に等しく、必ず巡って上る太陽……未来を刻む時を照らす光。
私はベッドから起き上がり、パジャマを脱ぎ捨てた。
制服のスカートのプリーツが取れていないかを確認し、足を通す。
ファスナーもチェックして上着を羽織る。
長い髪を手首に乗せて服から外に出し、スナップボタンを上から留め、鏡で確認。

階段を下り、洗面台の鏡の前で髪をとかす。
前日に泣いたにしては、そんなに目が腫れていない。顔を近づけ、何度も左右を比べて安堵した。
タクマは私を知っている。今更、繕うのもおかしな話。
それでも、目を合わせて話をするのに、恥ずかしくない姿でいたい。
私のアバターと同じように、タクマも姿を似せているのかな?
それとも、あのチャットのように違う外見なのだろうか。後者ではない気がする。
雪だるまから男の子の姿になって、アズライトやバイオリンの奏者も同じ背格好だった。
うん、先生から情報を得られなくても探せる。絶対に、探し出して見せるわ。
そして、晴にも伝えないといけない。
以前の様な関係には戻れないのだと……