オンラインゲーム『ラピスラズリ』


日曜日は、夜更かしで生活リズムを崩した。
驚くような時間に起きた私は、PCの画面にあるメッセージに戸惑う。
『火曜日の放課後、音楽第一教室で預かっていた物を返します。』
その後、『独創サイト』にログイン出来なかった。サイトが見つからない。
心は何かを失ったように満ちることはなく、不安定。
……無音……


火曜日、足取りは重く静かな通学路を歩む。
周囲の音も遮断するような虚無感。
闇を望み、音のある世界に浸った。
光を注いだのは、タクマ……私は嫌々、囚われに身を置き……
降り注ぐ光に溺れ、息も出来ないほど心が躍り、湧き上がる歓喜に満たされた。
願ったのではないヒロインに、成り切り……目覚めれば現実…………

いつもの道を無意識で歩き、辿り着くのは晴のいる教室。
入り口に足を入れ、視線を感じた。
「おはよう。」
挨拶を述べると、教室の中から返事が在る様で無い。
微妙な反応に、不思議と周りを見渡した。
こそこそと、2・3人が数か所で私を見ながら戸惑いの様子。
『ほら、あなたが言いなさいよ。』
『それ、私たちが言う事?』
何?首を傾げながら、あのゲームの世界での事は周りには分からないはずだよね……なんて、思わず苦笑した。

自分の席に移動して、イスに座りながらカバンを開ける。
いつも遅刻かギリギリの男子の集団が、騒がしく近づいて来るのが分かった。
教室の入り口手前で、大きな驚いた声が響く。
「え!?あの二人、別れたの?」
……え?
目を見開き、本を持った手が止まる。視線は本に保ったまま。
教室の雰囲気に、いつもは鈍感なはずの男子たちが口を閉ざした。
私は、ぎこちない動きで本を机に入れる。
私と晴を交互に見ているのかな。教室の空気は重く、視線を感じる。
晴、彼女と土曜日にデートしていたよね?
私の中には、言い表せない感情が渦巻く。