ん?雰囲気が、変わったように感じた。
思考のさ迷った私が画面に集中すると、何だか様子が異なる。
そういえば短時間だったけど、ブルードラゴンの攻撃も動きも無かった。
「……サイバー・パトローラー?あの“司法省”の噂は、本当なのか!庶務の附属機関……サイバーテロじゃ、ねーんだぞ?マジかよ、俺……は、俺……」
動揺の表れた声と、言葉……
私には理解できないけれど、サイバー・パトローラーって凄い事なのかな。
そして、クライマックス……最後の指示。
画面に浮かんだ文字の点滅『4う$』。ぽ・ち・り。
心の余裕から、間違うような不安もなく緊張も無く……それでも、高まる期待と湧き上がる歓喜。
タクマの用意した物語に執心。
カコは手を、腰に掛かったタンバリンに移動させ、それを胸の位置に構えて緩やかに揺らす。
胴の部分のシンバルが小さく音を奏でて、音が増えるように響いていく。
カコの周囲には音符記号の◇が、タンバリンの発する音に伴って増えた。
カコはゆっくりと目を閉じ、息を吐きだして目をパッと開く。強い眼差しを向け……
「ストメディール・エーアインシオークル!」
足元で魔方陣が急速に広がり、ブルードラゴンに向かって淡い光が放たれた。
それは、足元から魔方陣が徐々に解け、道筋を作るようにブルードラゴンの腹部……タクマの突き刺した剣まで煌めきが連なる。
光の道を辿って、音符記号が移動を始めた。
そして……バイオリンの演奏。
「何だ、俺に回復など……しかも、寄託の回復魔ほ―」
言葉が途切れ、ブルードラゴンの奇声が何度も響く。
“寄託の回復魔法”?
私の敵に対する行動は、防御でも攻撃でもなく……回復だった。
画面には、その魔法を継続して闘っているカコの姿が映る。
じっと見守り、心は無音で……ジワジワと滲むような心の奥深くの燻り。
光と音符記号は、ブルードラゴンに注がれ続ける。
腹部に変化が現れ、膨張していく。
ブルードラゴンの受けた苦しみがそうさせるのか、不安定に大きく揺れ動いて奇声を繰り返す。
悲痛な機械音が響いて、腹部の限界を感じたその時……
ブルードラゴンの体全体が、光と紺碧の破片となって散った。
まるで花火…………

