オンラインゲーム『ラピスラズリ』


土曜日の朝10時、私は友達と待ち合わせをしていた駅に到着する。
私を見つけた友達が走って近づいて来た。
「未來!おはよう。」
「おはよう。」
元気な挨拶に、私も笑顔で挨拶を返す。
二人並んで、道を歩きながら会話を始める。
「どこに行く?」
そう言いながらも、駅周辺にあるショッピングモールへの方向へと移動していた。

ショッピングモールの駐車場は混雑し、スペースが空くのを待って並んだ車の列。
それを横目に見ながら、駅から同じように歩いて来た人波にのまれる。
建物に入り、広がったホールにも大勢の人。
今日の土曜日から3連休で、人の集まるところは同じなのだと思うと、ため息が出た。
食品売り場に向かう方向は出店が幾つか並ぶ。
早速、買い食いに誘われた。
友達と顔を合わせ、お互いに苦笑が漏れる。
甘い誘惑に負けて、たこ焼きを一パック二人でお金を出し合って買う事に。
奇数のたこ焼きに、おじさんがオマケをくれて、ソースとマヨネーズもたっぷり。
二人で、お礼を述べて手を振った。

アツアツを食べようと、ベンチを探しながらウロウロする。
やっと空いたイスを確保するため、友達にはそこで待ってもらい、私は自販機に向かう。
タイミングが悪かったのか、2人並んでいた。
その後ろに立ち、時間短縮の為に小銭を準備。
遠目に、自販機の商品を眺める。
ペットボトルのウーロン茶か緑茶で迷っていると、その自販機の横に座った男の人たちの会話が耳に入ってきた。
ネットゲームの話題。
「アズライトがチートって噂だよな。」
「あー。あの排除騒ぎ、お前も見たのか?」
排除……タクマの消えてしまいそうな様子が鮮明に、記憶によみがえる。
チートって何だろう?
タクマの告げた『罵声』に関係する事だろうか。
動揺する。順番が来て、私は予想外の炭酸ジュースのボタンを押してしまった。
それを持って走る……その場から、逃げるように。
耳を閉ざして情報も入れず、現実への恐怖を自分から締め出す。
それは、これからネット上で起こる事への不安が増し加わるから。
まだ、考えたくない。
ただの憶測に惑い、タクマを信じることも……自分の強さも揺らぐ。
傍観者ではなく、『ヒロイン』であることを望みたい。