そうすれば、囚われの意味もなくなる。
私は何かを望んでいるのかな。
無意識に晴との接触を避け、あのサイトに囚われたまま、何も知らずに身を委ね……彼が導く。
それは、バイオリンの高音が奏でる曲に耳を傾け、闇に呑まれ光が注ぎ、傍観する私のアバターが変身し、タンバリンのシンバルが響く変化に富んだ音のある世界。
時間は過ぎて、同じような毎日を繰り返す。
全く同じ日など存在しないはずなのに、心に残ることもなく過ぎ去る時間。
そんな日々を覆すのは、音のある世界。
彼のヒロインであり続けるなら、容易に変化の富んだ時間を手に入れられる。
身を委ねるだけの傍観者……
それにも慣れると、退屈を感じるのだろうか。何て我儘な貪欲。
いつもと同じ時間。光と闇の二分された空間に立つ私(アバター)。
その横に、画像が揺らいで形を成していく。
ログインしたタクマのアバターは、雪だるまではなく男の子の姿。
私(アバター)に手を差し伸べ、笑顔を向けた。
バイオリンが軽快な曲を奏でる。
PCに入力したのか、文字が画面に表示され、音声でも聞こえた。
「カコ、今日はネトゲの世界へ誘う。」
ねとげ?寝る・取られる……ちょっと危険な世界?
理解できず、勝手にねつ造した憶測で、思わず身を引く。
PCのキーを押す勇気もない。
『ヒロイン』は無理だ、別の何かで許してもらおう。
私の反応を、何で読み取るのか、タクマは足元を指さした。
闇が画像を映し出し、説明を始める。
「オンラインゲーム、略してオンゲー。ネットゲーム、ネトゲとも呼ばれる。コンピュータネットワークを利用したゲームだよ。おいで、難攻不落の城を攻め落とすんだ。ね、俺のヒロインになってよ。」
足元のゲームの世界は高画質で、勢いや音声は臨場感を盛り上げる。
難攻不落の城に、戦いを挑んでは消えていく多くの者。

