オンラインゲーム『ラピスラズリ』

久利 未來(くり みらい)


クリスマスの夕暮れ。
ずっと幼い頃から共に過ごし、その日も同じだと思った。
特別な想いを告げても、変わらないのだと信じていたのが崩れる。
予定を聞いた私に、幼馴染は答えた。
『夕方、学校で待ち合わせの約束がある』と。
嫌な予感がした。

胸騒ぎに、じっとしていることが出来ず、向かった学校。
私の姿を見つけ、幼馴染は微笑んだ。
「未來、これを受け取って欲しい。ごめんね、ありがとう。」
手に渡された物は、ラッピングもされていない。
彼の中で、私の幼さを物語るような、雪だるまのヌイグルミ。
胸に抱きしめ、私は笑顔を向けた。
いつもと同じように笑えただろうか。
彼は背を向け、私ではない女の子の方に向かう。
言葉も出ずに後姿を見つめ、思考と同じ、白い雪が視界を塞いだ。
地面に落ちては、溶けて消えていく。
涙を零し、霞んだ視界。
遠くだから分からない?
私が泣いているのに、振り返ったあなたは笑顔で手を振って、また背を向けた。
彼女と並んで歩いて行く後姿。

『ただの幼馴染。小さな時から一緒に居た友達。』

私は恋を失った。
せめて想いを伝える事が出来ていれば、闇に呑まれることもなかっただろうか。
手から落ちたヌイグルミを拾うこともせず、涙も拭わずに、その場を去った。

何も見ていない。
“あなた”と目が合った?
知らないわ。
無音を生み出した?
心は穏やかではない。思考はグチャグチャで、言葉が出なかった。
私を捕らえたのは、あなた……