妹ミイロの死。直情的な友人、楽水(ささな)。
どこまで伝えるか。どう伝えるか。俺は悩む。
涙を流してはいるけれど。少し落ち着いたのか、茫然と宙を見つめ。
そろそろ周りの視線が気になる。
「楽水、立てるか?」
「移動する。」
声をかけると、最低限の返事。
涙を拭い、足に手をかけて立ちあがる。
背は高くないけれど、ミイロと並べば気にならない標準。
「なんだ。」
俺の視線に、感情の読めない表情で答えた『なんだ』。
この『なんだ』がいつも、読み切れないんだよな。
多分、女性がコイツを避けてしまうのもコレが原因だろう。
「どう話せばいいか迷っている。」
「雷杏(らいあん)は、ゲームにいるぽこぽんと似てるな。」
俺の返事に、何を思ったのかは分からない。
自分の言いたい事だけを告げて。
「ふ。説教されたか?」
「あぁ。」
不機嫌そうな顔。拗ねたような態度。多くは語らない。
職場では変わらず下ネタを語って、上司に睨まれたとかコイツの部下が言っていたけど。
部下のいるところでは無理して盛り上げるために言葉を増やし。
たまに頭痛や体調不良。不器用だなぁと思う。
「リスペクトが欲しい。」
「なんでそんなに自信がない?」
返事はない。
生い立ちなのだろうか。多くは語らない。
ミイロは楽水を否定しなかった。
コイツの不器用な話に、いつも耳を傾け笑顔を向けた。
ミイロは話すのが好きで、病気でなければ好奇心の赴くままどこまでも行ける。コミュ力の塊。
楽水には楽だったと思う。
自分が無理せず話さなくても会話は広がり。
自分の意見を言っても、受け入れてくれる。
優しい妹に、惹かれるのを隣で見ていた。
俺は嬉しかった。
けど欲情は見せるな、頼むから。
「はぁ。」
ため息が漏れる。
「どこだ。」
「今更聞くな。分かって付いてきているのかと思ったぞ。」
「しらん。」
この素っ気なさ。悪気もなく。淡々と。
体力を無駄に消費しないような生活の知恵なのだろうか。

