オンラインゲーム『ラピスラズリ』


討伐の当日。
その開始数分前に、闘技場の観覧席が公示され。
総勢80名。戦士4・補助1の5人パーティー。風属性2・水属性4・火属性6・雷属性4。
良く集めたものだ。
補助職を16人。不遇の中、それが多いのか少ないのか。
不遇だから素人でもそう変わらない。即席でリアルに声をかけたとも聞いた。
育成も含んだ準備期間を終え。

闘技場は満員。
各属性の町に人が集まり。空の画面を見上げ。
俺も画面を見つめる。
数で押し切れるかと、優勢からのスタート。
速攻勝負を仕掛け、奥義の連続。
青白い炎の柱。
疾風に葉が混じった切断攻撃。
雷鳴の轟。
水の矢が降り注ぐ。
あぁ、見覚えのある、参加していないカプリチオの技。
あいつも寄託したのか。
何故だ。アジュールの復讐をするのかと思っていたのに。
参加しない俺に、周りの反応は厳しかった。
カプリチオも同じだっただろう。
参加するか。奥義を手放してまで、アジュールを待つか。
きっと選んだのは後者。
理解できる。痛いほど。
俺の想像以上の苦しみや悲しみを抱えているに違いない。
俺より多くの時間を共にしたのだから。
それでも、自分が出来ないから望んでしまう。
お前が復讐を遂げてくれるのを。

占いは俺に『挑め』とは言わなかった。
たかが占い。それでも。
俺はファクトのギルマス。アジュールが二周目に戻る事に期待して。
よく作られたゲーム。画像は綺麗で、効果音もリアル。
ラスボスの強さ。倒すたびに攻撃力や防御力が上がり。
それは。【難攻不落】に相応しい。

徐々に劣勢になるのが見て取れる。
防御は完璧。不遇職だからこそ。どんなラスボスの攻撃にも耐えられる。
それは魔力が続く限り。
回復アイテムの乱用。それも追い付かず。
護りに重点が置かれ。隙を突かれれば。一瞬で崩壊する陣営。
振るわれるドラゴンの腕。
鋭い爪で広範囲に地面まで切り裂き。
口から黒煙の混じる炎を吐き出し。
大きな翼は暴風を巻き起こす。
尻尾が上下左右に舞い。大ダメージを与える物理攻撃を繰り返す。
圧倒的な強さ。
そこに切り込んで大きな傷をつけ、盛り上がる瞬間も度々。
それでも。力の差は歴然。
傷の回復は早く。
攻撃する人数が減り続け。

最後の一人。
ドラゴンの腕が迫って、戦士を捕らえ。
響くのは。握りしめる力に鎧の耐えられきれない歪の音。
そして呻くような叫び声。滴る鮮血。
ドラゴンは口を広げ。
手にしていたそれに喰らいつく。
咀嚼音。
悪趣味な光景を目の当たりに。

攻略メンバー全滅。