ギルドの統制を見守りつつ。討伐メンバーの相談にも応じる。
そして数人の同じ属性の戦士が俺に、奥義の寄託を依頼した。
いつかは俺も【難攻不落】に挑むだろう。
しかし、今回のような大規模な上位者による攻略など今後はないと思う。
成功しても失敗しても。ゲームクリアか、絶望か。
奥義は誰でも引き継げるものではない。
それでも、今回の戦力になるのであるなら。
希望者すべてに、申し出の順番で。寄託の呪文を試すことにした。
しかし、どの炎の戦士も奥義を受け継げる者が現れず。
そもそも寄託自体ができるのかを疑われた。
俺にとって寄託は。誰かに出来る自信があった。
失敗すると適応の範囲から離れるにしたがい反発ダメージが膨大で、ひん死状態になるから。
そうこうするうちに。
協力を申し出た別の属性で、数名の成功報告があり。
運営の妨害でないことも確認された。
確率の問題。
討伐メンバーの焦りか、挑む期日に備え、希少な回復職の強引な勧誘。
回復アイテムの買い占め。
外部チャットで画策していたのが表に出始める。
協力はするが、俺に出来る事は限られている。
カプリチオも討伐メンバーには入っていなかった。
あの後、何を考えたのかも知らない。
俺は、カプリチオも参加するのだと思っていた。
いや、もしかするとアジュールを待っているのか。
俺もどこかで期待していた。
ゲーム上でログインの確認は出来ないけれど。
二周目の始まりの町が同じなら。姿くらいは見ることが出来るだろうと。
属性が違っても、誰かは気づくはず。
アジュールを覚えている者がどれほど残るのか。
チャット機能も使えず、検索にもかからない二周目。
今、明らかにゲームに夢中になっている者たちの関心は、【難攻不落】の城に挑む事。
挑む者たちを見守る事。
不遇職・アイテム枯渇の不満。
新しいギルドが創設され、討伐のメンバーが移籍する。対抗ギルドも同じ。
いよいよ本格的に挑む日時が迫ってきた空気。
『技を伝えよ』
占いに則したつもりで。
ギリギリまで炎の奥義を寄託できないかと、依頼に応じるけれど。
適応できるものは現れなかった。
挑む日時が公になり。
ゲーム内は更に盛り上がって、お祭り騒ぎ。

