オンラインゲーム『ラピスラズリ』


「ギルマス~。最近、みんな忙しいんですか?」
当然の疑問だろう。
課金もなく、作りこまれたゲーム。新規者も定期的に増え。
ゲームを初めて間もなければ、二周目など耳に入るはずもなく。
外部チャットで情報が流れる程度。
「そうだな。これはゲームだ。楽しめ。分からない事があれば、遠慮なく聞いてくれ。」
「ぽこぽんさん、さっきのは奥義ですか?」
「お、奥義を知ってるとは。誰から聞いたんだ。」
「忘れました。ふへ。」
「なんだよ、それ。まぁ、さっきのは奥義じゃない。定期的なイベントで、一部しか手に入らないから奥義なんだけどね。」

『中継者 技を伝えよ』
そうだ。占いを聞いた時。奥義が頭に浮かんだ。
きっと誰かに寄託する。同じ属性、炎の戦士に。

「ついでだ、レベル上げの狩りに行くか。」
「はい!」
パーティー転送して、ボイスチャットでゲームの話や日常の会話をしながら。
まったりゲーム。懐かしいような気分。
アプデを繰り返し、新たな町やシナリオが増え。
ギルドに所属し、ギルマスだからといって積極出来でもなく。育成も率先するメンバーに任せ。
改めて、この楽しさを味わう。
これはゲーム。オンライン。
画面の向こう側では俺の知らないリアルが存在し。そしてこのゲームで出会い。
本来なら知り合うことも出来ない場所の人。
遠く離れた人が身近で。年齢差を気にせず。
時に性別を偽った奴も存在する。
途中で何も言わずに消えていき、時に思い出したかのように戻り。
強制などない。

【難攻不落】の城に挑み、消える覚悟。
アジュールのように奪われるくらいなら。
今回の討伐、失敗すれば他の大手も人数が減少する。
多分、ラスボスの耐久も上がるだろう。
奥義。各属性に数名。
考えもしなかった。きっと俺にも挑戦状が届くだろう。
この愛らしい姿をしたモフモフを背に、抱えている限り。


「おい、アジュールが検索から消えたぞ。」
この数日、ログインもなく。監視しているグループもいたようで。
注目度が高いから噂もすぐに入る。
検索から消えた。
それは、運営が二周目の権利を与えた猶予期間が過ぎたのか。
それともログインがあって、検索からも外されたのか。
どちらにしても。
アジュールに対して、俺が出来ることはないのかもしれない。