受付嬢なのに、清掃員から一途に溺愛されています ~タワマン最上階で猫と過ごす、秘密の恋~

  「……あんなに綺麗で、清楚な方、
   めったにいないと思います」

 正直な気持ちだった。
 西条は、小さく笑った。

  「そうだね。
   とても、素敵な人だった」

 それでも、と続ける。

  「結婚は、
   長く一緒に暮らす相手だろう?」

 言葉は静かだったけれど、
 重みがあった。

  「気を使って、取り繕って、
   無理をする相手とは、
   続かない」

 マルが、西条の膝に乗る。

  「……俺は、
   安心できる人と一緒にいたい」

 その視線が、
 ゆっくりと、私に向けられた。
 胸の奥が、じんわりと熱くなる。

 あの日、
 どうして私が同席していたのか。

 どうして、あの目線があったのか。

 すべてが、静かに繋がっていく。

 「……ずるいひとですね」

 そう言うと、
 西条は、少し困ったように笑った。

 「ごめん」

 でも、その声は、
 とても優しかった。