受付嬢なのに、清掃員から一途に溺愛されています ~タワマン最上階で猫と過ごす、秘密の恋~

 その答えは、そのときは分からなかった。

 あとになって、ふと思い返す。
 受付に立っていた頃、
 私は何度か、西条に弱音をこぼしていた。

 仕事のこと。
 居心地の悪さ。
 自分が、そこに合っているのか分からない、
 という気持ち。

 大した愚痴じゃなかったはずだ。
 ただ、聞いてもらっていただけ。
 それでも。
 もしかしたら、
 あの人は――

 私が、比べられる場所に
 立ち続けることよりも、
 ちゃんと向き合って仕事ができる場所を、
 選んでくれたのかもしれない。

 そう思った瞬間、
 胸の奥が、じんわりと温かくなった。

 理由は、最後まで聞かされなかった。
 でも、それでいい気がした。
 私は、何も知らないふりをして、
 新しい部署へ向かった。