受付嬢なのに、清掃員から一途に溺愛されています ~タワマン最上階で猫と過ごす、秘密の恋~

 ある日、
 私は少し早めに受付カウンターに立っていた。

 今日は来客が多い予定で、
 ひとりで準備を進めている。

 来客名簿を開き、
 名前と時間、連絡先に目を通す。
 ミスはできない。
 そう思うほど、自然と肩に力が入った。

 そのときだった。

 ロビーの向こうから、
 明らかに雰囲気の違う男が歩いてくる。

 背が高く、足音が荒い。
 ――こんな早い時間に?

 嫌な予感がした瞬間、
 男は受付の前で立ち止まった。

  「ねえちゃん、営業の加藤を呼べ!」

 突然の怒鳴り声に、胸が跳ねる。

  「恐れ入りますが、お約束は――」

 できるだけ丁寧に、そう聞き返した。

  「そんなもん、あるか!
   いいから早く呼べ!」

 声が一段、荒くなる。
 私は慌てて内線電話を取った。

 総務課にかけるが、
 まだ責任者は出社していない。

  「早くしろって言ってるだろ!」

 また怒鳴り声が飛ぶ。

 ロビーには、
 出社してきた社員の姿も増え始めていた。
 でも、誰もが遠巻きに視線を逸らし、
 そのまま通り過ぎていく。

 ――どうしよう。