触れられない手

放課後。雨はまだ止んでいなかった。

傘を差して校門を出ると、少し先を歩く背中が見える。
朝陽だ。

同じ方向。
同じ帰り道。

昔なら、当たり前の距離で並んで歩いていた。
今は、追いついてはいけない距離。

話しかけたら、壊れる。
そんな気がして、私は歩調を落とした。

すると、朝陽も少しだけ歩くのを遅くした。

――偶然か、わからない。

でも、同じ速度で雨の中を歩く。
それだけで、胸が苦しくなった。