母が亡くなってから、父はいなくなった。
朝陽の母親も、戻らなかった。
私は祖母に引き取られ、朝陽は遠くへ引っ越した。
最後の日。
引っ越しトラックの前で、朝陽は私を見なかった。
「……お前のこと、嫌いだった」
そう言って、私の世界から消えた。
⸻
「……空いてる席、そこな」
担任の声で、現実に戻る。
朝陽が歩いてくる。
そして――私の隣に、座った。
一瞬、視線が交わる。
昔みたいに、「ゆず」と呼ばれることは、もうない。
それでも。
外で雨が強くなった。
手が震える。
すると、机の下で、朝陽の指がそっと動いた。
触れない。でも、離れない。
.
.
.
その距離が、私たちの全部だった。これは、雨の日に壊れたふたりが、もう一度出会ってしまった物語。
朝陽の母親も、戻らなかった。
私は祖母に引き取られ、朝陽は遠くへ引っ越した。
最後の日。
引っ越しトラックの前で、朝陽は私を見なかった。
「……お前のこと、嫌いだった」
そう言って、私の世界から消えた。
⸻
「……空いてる席、そこな」
担任の声で、現実に戻る。
朝陽が歩いてくる。
そして――私の隣に、座った。
一瞬、視線が交わる。
昔みたいに、「ゆず」と呼ばれることは、もうない。
それでも。
外で雨が強くなった。
手が震える。
すると、机の下で、朝陽の指がそっと動いた。
触れない。でも、離れない。
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その距離が、私たちの全部だった。これは、雨の日に壊れたふたりが、もう一度出会ってしまった物語。
