触れられない手

朝陽は、
週末になると決まって外にいた。

夜のファミレス。
居酒屋の前。

年上の知り合いと、
適当に時間を潰す。

その中に、
母親はいない。

――でも、
会っていないわけじゃなかった。

駅前の古い喫茶店。

奥の席に座る、
見覚えのある横顔。

朝陽の母親と、
柚香の父親。

二人は、
今も一緒だった。

楽しそうでも、
幸せそうでもない。

ただ、
「戻れなくなった大人たち」