触れられない手


息が、できない。

道路に広がる水たまり。
反射する街灯。

母が倒れた、
あの道。

膝が崩れて、
地面に座り込んだ。

「ゆず」

声がした。

顔を上げると、
朝陽が立っていた。

一人だった。

でも、
少し前まで誰かと一緒だった匂いがする。