触れられない手

おばあちゃんが倒れたのは突然だった。

朝、起きてこなかった。

「……おばあちゃん?」

返事がなくて、胸がざわつく。
布団の中で、おばあちゃんは小さく丸まっていた。
呼吸はしているけど、浅くて、弱い。

救急車の音が、雨音みたいに遠く感じた。

病院の白い廊下で、私は一人で椅子に座っていた。
誰にも、連絡できない。できる気がしなかった。

おばあちゃんは、私の最後の家族だった。