律さんの部屋に来て数日ぐらい過ぎた頃、私は律さんのくれた白のYシャツで過ごす日々に慣れてきた。両親から部屋を追い出されるまでは服には嫌悪感を抱いていて、着たら腹痛と湿疹の症状が出るから何も着ずに過ごしていたから。今は、ダイニングで、律さんは数学Iの教科書を見て頭を悩ませている。いつもは自室で勉強しているけど
「今日は疲れたから、ダイニングで宿題する……」
ってことらしい。
「そんなに難しいの?」
私は席を立って、教科書を覗き込む。すると、そこには単元名が書かれていた。
『一次不等式』
と。私はもう習い終わった単元だ。
「律さん……私が教えましょうか?」
私が提案すると
「分かるのか?」
と。目を見開いて言った。
「この単元、蒼空高院では終わっている単元だから……」
私は、律さんの隣の席に座らず、体を乗り出して椅子に膝をついて、教科書を逆さま状態で見ていた。私は
『(1)2xー1>3』
を人差し指で指し
「左側の『ー1』を右側の式に移項すれば答えが分かるよ?」
と。教えた。律さんを見ると、律さんは下を向いて動かなくなっていた。耳が赤く染まっている。私は今の態勢を見て分かった。私は今、律さんにYシャツの襟元から覗くデコルテを見せてしまったからだ。私も顔が赤くなって、しばらく固まった。私と律さん2人は、顔が真っ赤っかだった。今日は金曜日で、明日は週末。律さんの部屋で過ごす初めての週末になる。
翌朝。私は平日同様、朝6時に目を覚まして、白いYシャツを着てカーテンを開ける。そして、律さんの寝室を出てソファで寝ている律さんを起こしに行く。大体、寝返りを打つときにソファから落ちて、おでこか後頭部を打撲して目が覚めるけど。今日も律さんは寝ていた。律さんはスマホにタイマーをセットしていた。私が律さんのタイマーを確認すると
『その他 12:00 週末用タイマー』
と。あった。律さんは週末や祝日には、あと7時間は眠るらしい。
ーーグウゥ……。
お腹が鳴った。朝食を食べたいけど、律さんは起きていない。どうやって済ませよう。私は少しなら料理は出来るけど、律さんに
「勝手に食材を使われたくない」
って言ってたし。私は少し恥ずかしいけど、Yシャツのボタンを1個1個開けて律さんの顔の前まで行って
「律さん……起きてくださーい! 朝ですよー!」
と。少し高い声で話しかけ、律さんの体をゆする。男性は女性の体を見れば興奮するという心理を使ったけど、これは律さんに通用するだろうか。私は羞恥心はあった。父親にさえ、肌をあらわにした姿を見せたことがないから。
「ん?」
律さんは目を開ける。まだ視界がぼやけているみたいだった。そして、視界がハッキリすると目が飛び出すような勢いで飛び起き、台所の冷蔵庫に背中と後頭部を強打してしまう。驚いていた。私が見た中で、過去一驚いていた。私はYシャツのボタンを全部閉めて
「目が覚めましたか?」
と聞く。
「な、なんで俺の前で肌露出させるんだ?」
「お、起きるかなって……」
「もう……俺の前で肌をあらわにするな……俺以外にやったら痛い目に遭うから……」
律さんは、目をこすりながら台所の棚から皿を2枚取り出す。私は反省した。でも、目覚ましにはなったと思いたい。今度からは体をゆすり、甘い声を耳元で囁いて起こしてみよう。
朝食時。律さんは目玉焼きを乗せたトーストを1枚ずつ皿に乗せた。そして、冷蔵庫からカフェオレと牛乳のパックを取り出しダイニングテーブルに置く。
「いただきます……」
律さんは手を合わせて、目玉焼きトーストにかぶりつく。
「い、いただきます……」
私も目玉焼きトーストを口に運ぶ。律さんは週末は何をしているのだろうか。
朝食後。私と律さんは朝食を食べ終えると、律さんは私の食器も持って洗いにいく。私は牛乳とカフェオレのパックを冷蔵庫に戻す。
「ありがとう……」
律さんの声が聞こえた。私が振り返ると、律さんが優しい黒い目で私を見ていた。
「ど、どういたしまして……」
私はダイニングの椅子に座って、律さんが食器を洗い終えるのを待った。
食器洗い後。食器を洗った律さんはダイニングに座らず、ソファに腰を下ろしてテレビを付けた。
「まだ午前中で面白いものやってないな……」
律さんはまるで一人暮らしのように、テレビのチャンネルを数秒単位で変えていく。私が律さんの隣に腰を下ろす。
「あのチャンネルは?」
私が提案すると
「『連続テレビ小説』か……好きなの?」
「いや、でも最近見てないし……」
「そうか……」
律さんは連続テレビ小説が放送しているチャンネルを押した。そして、1時間と15分間、その番組を見た。
「民放でもやっているのか……」
「来週から、朝の8時に一緒に見ない?」
「……いいかもね」
律さんは連続テレビ小説の虜になった。私も虜になった。
「まだ午前中だな……何で時間を潰そう」
律さんはスマホを手に取って、時間を見る。今は10時47分になっていた。私は寝室からタブレットを取り出して、他のアプリケーションを開いた。学校のオンライン授業に使うタブレットだけど。今の私は、スマホを持っていないから。追い出された部屋の中にあるから。
夜、律の寝室。夕食を食べ終えると、律さんはソファに寝そべって即寝てしまった。どれだけ寝るのが早いんだ。私はYシャツを脱いで、ベッドに座る。律さんの部屋にはベッド近くの壁がクローゼットになっている。
《もしかしたら……律さんが着た服なら着られるかも?》
私は律さんの服が詰まったクローゼットを開けた。中には、いろんな服があった。でも、ほとんどが新しく買ったものなのか値札が付いている状態だった。私は適当に1枚手に取ってみる。手に取ったのは、何かの怪物が叫んだ顔の描かれた黒い半袖のTシャツ。感触はYシャツと違って少しフワフワしている。私には少し大きいサイズだった。私はそのTシャツのハンガーを取って袖を通してみる。首まで通すと、赤いポツポツが出始めて慌ててTシャツを脱ぎ捨てた。
《やっぱり……私が着られるのは、あの白いYシャツだけ…….》
私は慌てて脱ぎ捨てたTシャツのシワをなくして、ハンガーにかけてクローゼットを閉めた。寝室にはエアコンの風の音だけが流れていた。私は薄生地の布団を被って眠りに就いた。
「今日は疲れたから、ダイニングで宿題する……」
ってことらしい。
「そんなに難しいの?」
私は席を立って、教科書を覗き込む。すると、そこには単元名が書かれていた。
『一次不等式』
と。私はもう習い終わった単元だ。
「律さん……私が教えましょうか?」
私が提案すると
「分かるのか?」
と。目を見開いて言った。
「この単元、蒼空高院では終わっている単元だから……」
私は、律さんの隣の席に座らず、体を乗り出して椅子に膝をついて、教科書を逆さま状態で見ていた。私は
『(1)2xー1>3』
を人差し指で指し
「左側の『ー1』を右側の式に移項すれば答えが分かるよ?」
と。教えた。律さんを見ると、律さんは下を向いて動かなくなっていた。耳が赤く染まっている。私は今の態勢を見て分かった。私は今、律さんにYシャツの襟元から覗くデコルテを見せてしまったからだ。私も顔が赤くなって、しばらく固まった。私と律さん2人は、顔が真っ赤っかだった。今日は金曜日で、明日は週末。律さんの部屋で過ごす初めての週末になる。
翌朝。私は平日同様、朝6時に目を覚まして、白いYシャツを着てカーテンを開ける。そして、律さんの寝室を出てソファで寝ている律さんを起こしに行く。大体、寝返りを打つときにソファから落ちて、おでこか後頭部を打撲して目が覚めるけど。今日も律さんは寝ていた。律さんはスマホにタイマーをセットしていた。私が律さんのタイマーを確認すると
『その他 12:00 週末用タイマー』
と。あった。律さんは週末や祝日には、あと7時間は眠るらしい。
ーーグウゥ……。
お腹が鳴った。朝食を食べたいけど、律さんは起きていない。どうやって済ませよう。私は少しなら料理は出来るけど、律さんに
「勝手に食材を使われたくない」
って言ってたし。私は少し恥ずかしいけど、Yシャツのボタンを1個1個開けて律さんの顔の前まで行って
「律さん……起きてくださーい! 朝ですよー!」
と。少し高い声で話しかけ、律さんの体をゆする。男性は女性の体を見れば興奮するという心理を使ったけど、これは律さんに通用するだろうか。私は羞恥心はあった。父親にさえ、肌をあらわにした姿を見せたことがないから。
「ん?」
律さんは目を開ける。まだ視界がぼやけているみたいだった。そして、視界がハッキリすると目が飛び出すような勢いで飛び起き、台所の冷蔵庫に背中と後頭部を強打してしまう。驚いていた。私が見た中で、過去一驚いていた。私はYシャツのボタンを全部閉めて
「目が覚めましたか?」
と聞く。
「な、なんで俺の前で肌露出させるんだ?」
「お、起きるかなって……」
「もう……俺の前で肌をあらわにするな……俺以外にやったら痛い目に遭うから……」
律さんは、目をこすりながら台所の棚から皿を2枚取り出す。私は反省した。でも、目覚ましにはなったと思いたい。今度からは体をゆすり、甘い声を耳元で囁いて起こしてみよう。
朝食時。律さんは目玉焼きを乗せたトーストを1枚ずつ皿に乗せた。そして、冷蔵庫からカフェオレと牛乳のパックを取り出しダイニングテーブルに置く。
「いただきます……」
律さんは手を合わせて、目玉焼きトーストにかぶりつく。
「い、いただきます……」
私も目玉焼きトーストを口に運ぶ。律さんは週末は何をしているのだろうか。
朝食後。私と律さんは朝食を食べ終えると、律さんは私の食器も持って洗いにいく。私は牛乳とカフェオレのパックを冷蔵庫に戻す。
「ありがとう……」
律さんの声が聞こえた。私が振り返ると、律さんが優しい黒い目で私を見ていた。
「ど、どういたしまして……」
私はダイニングの椅子に座って、律さんが食器を洗い終えるのを待った。
食器洗い後。食器を洗った律さんはダイニングに座らず、ソファに腰を下ろしてテレビを付けた。
「まだ午前中で面白いものやってないな……」
律さんはまるで一人暮らしのように、テレビのチャンネルを数秒単位で変えていく。私が律さんの隣に腰を下ろす。
「あのチャンネルは?」
私が提案すると
「『連続テレビ小説』か……好きなの?」
「いや、でも最近見てないし……」
「そうか……」
律さんは連続テレビ小説が放送しているチャンネルを押した。そして、1時間と15分間、その番組を見た。
「民放でもやっているのか……」
「来週から、朝の8時に一緒に見ない?」
「……いいかもね」
律さんは連続テレビ小説の虜になった。私も虜になった。
「まだ午前中だな……何で時間を潰そう」
律さんはスマホを手に取って、時間を見る。今は10時47分になっていた。私は寝室からタブレットを取り出して、他のアプリケーションを開いた。学校のオンライン授業に使うタブレットだけど。今の私は、スマホを持っていないから。追い出された部屋の中にあるから。
夜、律の寝室。夕食を食べ終えると、律さんはソファに寝そべって即寝てしまった。どれだけ寝るのが早いんだ。私はYシャツを脱いで、ベッドに座る。律さんの部屋にはベッド近くの壁がクローゼットになっている。
《もしかしたら……律さんが着た服なら着られるかも?》
私は律さんの服が詰まったクローゼットを開けた。中には、いろんな服があった。でも、ほとんどが新しく買ったものなのか値札が付いている状態だった。私は適当に1枚手に取ってみる。手に取ったのは、何かの怪物が叫んだ顔の描かれた黒い半袖のTシャツ。感触はYシャツと違って少しフワフワしている。私には少し大きいサイズだった。私はそのTシャツのハンガーを取って袖を通してみる。首まで通すと、赤いポツポツが出始めて慌ててTシャツを脱ぎ捨てた。
《やっぱり……私が着られるのは、あの白いYシャツだけ…….》
私は慌てて脱ぎ捨てたTシャツのシワをなくして、ハンガーにかけてクローゼットを閉めた。寝室にはエアコンの風の音だけが流れていた。私は薄生地の布団を被って眠りに就いた。
