ひだまり荘、桜井家玄関。俺は今、高校に通いながらも就活に励んでいる。今日も、ひだまり荘前のコンビニで履歴書とシール紙の証明写真を買った。久しぶりに夜勤のマネージャーが居て
「なんで辞めたんだ?」
と。聞いてきた。俺は何も答えなかった。もう3桁も企業に履歴書を送ったのに、なぜか不採用になる。高卒の就職は大卒と比べて、幅が狭まる。ピリピリしているから、安らぎが欲しい。俺は自分の部屋のドアの鍵穴に鍵を差し込み、開ける。
「また、書類審査で不採用だった……これで100社目だよ……」
就活を始めてから、俺は『ただいま』を言わなくなった。家に帰って最初に言うのは、就活に失敗した愚痴だ。通学用兼就活用のカバンを床に叩きつける。ダイニングに目をやると雫が椅子に座って顔を下に向けたままビクビク震えていた。
《寒いのか?》
俺は安らぎを求めることと、雫の寒さを防ぐために、雫に近づき後ろから手を回して抱きしめた。俺はここで判断を見誤ってしまったのかもしれない。俺は雫が今着ていたパーカーのファスナーに指が当たった。すると、突然視界が360度回転して、頭に数羽のヒヨコが回っていた。俺は気を失ってしまった。この時はよく分からなかったが、俺は雫に突き飛ばされたんだ。意識が戻った俺は雫にかける言葉が見つからず、頭を冷やすため、寝室に入った。俺の何がいけなかったのか、考えた。疲れていたから、冷静な判断が出来なかったのかもしれない。就活のピリピリ状態だ。無理もないのかもしれない。今日、雫は読み聞かせボランティア初日だったはず。あのビクビクは、寒さからではない。恐怖からだ。突き飛ばされたのは、俺が声を掛けずに抱きついたことと、ファスナーに手が触れてしまったことだ。突き飛ばされた原因が分かった。そのボランティア先で何かあったのかもしれない。でも、どうやって聞けば良いのか分からない。今、俺が話しかけてもおそらく雫は答えない。言葉で伝えるのが下手な雫だ。何があったのか、俺に迷惑かけたくなくて言えないはずだ。俺は空白ページのあるノートとペン立てから適当なペンを手に取って雫が頭を伏せている机に置いた。そして、俺はスマホを手に取ってクローゼットに身を潜めた。しばらく雫を1人にさせる。1人で心を整理させて相手に伝えたいことを文章としてまとめて、書き留める。カウンセリングもそのような環境づくりをしたりする。
体感数時間後。スマホで動画鑑賞をしていたが、流石に暗い中見続けたら目が悪くなる。そして、のどが渇いた。いくら、涼しい季節とはいえ、密室は暑い。本当は何もしないでいた方がいいのかもしれないけど。俺はクローゼットを開ける。クローゼットに入る前と変わらず、雫は机に顔を伏せたままだった。俺が近寄ると、雫は手にペンを持ったまま寝ていた。紙には次のような文字が書かれていた。
『パーカーのしたにきるふくがほしい』
と。ひらがなしか無いが、多分漢字に直すと『パーカーの下に着る服が欲しい』だ。雫はズボンやスカートを何年も履いていないが大丈夫だろうか。たぶん、大丈夫だ。俺が1度着れば問題ないはずだ。俺は財布を握りしめ、ショッピングモールに向かった。
ショッピングモール、服屋。俺は少し小さめサイズのTシャツと、レディースのショートパンツを買った。服はどうにか俺が着れば雫の心身症は防げるから大丈夫だ。
ひだまり荘、桜井家。俺は寝室に戻ってさっそく買ったTシャツとショートパンツを身につけた。Tシャツはサイズが小さいから、ヘソが丸出しになった。ショートパンツは、股下までしか長さがない。でも、半ズボンよりかはマシだと思う。パーカーに半ズボンは不自然だと思うから。俺はスマホを手に取ってゲームをする。数時間着ておく。このような服、普段着ないから新鮮な気がする。
数分後。
――バタン!
ドアの閉まる音がした。俺の寝室のドアが閉まったのだ。たぶん閉めたのは、雫だ。俺のこの姿を見たのかもしれない。俺はサイズが小さいTシャツとショートパンツを脱いで普段着に着替えた。俺は雫が頭を突っ伏していた机にその服を不器用に畳み置いた。
数日後、緑ヶ丘総合高校近くの公園。
ーープー……プー……。
スマホのバイブレーションが振動する。俺はスマホを開くと、履歴書を送った源泉銀行から採用通知が届いた。
「よっしゃー!」
俺は、高校を卒業した後はその源泉銀行で働くことが決定した。
「なんで辞めたんだ?」
と。聞いてきた。俺は何も答えなかった。もう3桁も企業に履歴書を送ったのに、なぜか不採用になる。高卒の就職は大卒と比べて、幅が狭まる。ピリピリしているから、安らぎが欲しい。俺は自分の部屋のドアの鍵穴に鍵を差し込み、開ける。
「また、書類審査で不採用だった……これで100社目だよ……」
就活を始めてから、俺は『ただいま』を言わなくなった。家に帰って最初に言うのは、就活に失敗した愚痴だ。通学用兼就活用のカバンを床に叩きつける。ダイニングに目をやると雫が椅子に座って顔を下に向けたままビクビク震えていた。
《寒いのか?》
俺は安らぎを求めることと、雫の寒さを防ぐために、雫に近づき後ろから手を回して抱きしめた。俺はここで判断を見誤ってしまったのかもしれない。俺は雫が今着ていたパーカーのファスナーに指が当たった。すると、突然視界が360度回転して、頭に数羽のヒヨコが回っていた。俺は気を失ってしまった。この時はよく分からなかったが、俺は雫に突き飛ばされたんだ。意識が戻った俺は雫にかける言葉が見つからず、頭を冷やすため、寝室に入った。俺の何がいけなかったのか、考えた。疲れていたから、冷静な判断が出来なかったのかもしれない。就活のピリピリ状態だ。無理もないのかもしれない。今日、雫は読み聞かせボランティア初日だったはず。あのビクビクは、寒さからではない。恐怖からだ。突き飛ばされたのは、俺が声を掛けずに抱きついたことと、ファスナーに手が触れてしまったことだ。突き飛ばされた原因が分かった。そのボランティア先で何かあったのかもしれない。でも、どうやって聞けば良いのか分からない。今、俺が話しかけてもおそらく雫は答えない。言葉で伝えるのが下手な雫だ。何があったのか、俺に迷惑かけたくなくて言えないはずだ。俺は空白ページのあるノートとペン立てから適当なペンを手に取って雫が頭を伏せている机に置いた。そして、俺はスマホを手に取ってクローゼットに身を潜めた。しばらく雫を1人にさせる。1人で心を整理させて相手に伝えたいことを文章としてまとめて、書き留める。カウンセリングもそのような環境づくりをしたりする。
体感数時間後。スマホで動画鑑賞をしていたが、流石に暗い中見続けたら目が悪くなる。そして、のどが渇いた。いくら、涼しい季節とはいえ、密室は暑い。本当は何もしないでいた方がいいのかもしれないけど。俺はクローゼットを開ける。クローゼットに入る前と変わらず、雫は机に顔を伏せたままだった。俺が近寄ると、雫は手にペンを持ったまま寝ていた。紙には次のような文字が書かれていた。
『パーカーのしたにきるふくがほしい』
と。ひらがなしか無いが、多分漢字に直すと『パーカーの下に着る服が欲しい』だ。雫はズボンやスカートを何年も履いていないが大丈夫だろうか。たぶん、大丈夫だ。俺が1度着れば問題ないはずだ。俺は財布を握りしめ、ショッピングモールに向かった。
ショッピングモール、服屋。俺は少し小さめサイズのTシャツと、レディースのショートパンツを買った。服はどうにか俺が着れば雫の心身症は防げるから大丈夫だ。
ひだまり荘、桜井家。俺は寝室に戻ってさっそく買ったTシャツとショートパンツを身につけた。Tシャツはサイズが小さいから、ヘソが丸出しになった。ショートパンツは、股下までしか長さがない。でも、半ズボンよりかはマシだと思う。パーカーに半ズボンは不自然だと思うから。俺はスマホを手に取ってゲームをする。数時間着ておく。このような服、普段着ないから新鮮な気がする。
数分後。
――バタン!
ドアの閉まる音がした。俺の寝室のドアが閉まったのだ。たぶん閉めたのは、雫だ。俺のこの姿を見たのかもしれない。俺はサイズが小さいTシャツとショートパンツを脱いで普段着に着替えた。俺は雫が頭を突っ伏していた机にその服を不器用に畳み置いた。
数日後、緑ヶ丘総合高校近くの公園。
ーープー……プー……。
スマホのバイブレーションが振動する。俺はスマホを開くと、履歴書を送った源泉銀行から採用通知が届いた。
「よっしゃー!」
俺は、高校を卒業した後はその源泉銀行で働くことが決定した。
