地元なじみ。

「え……待って……私?本当に?」
「そうだよ。花火大会の日からずっと、情けないところばかりでごめん」
「あっ……いや、そんな……」
「もう茅ヶ崎の気持ちが変わっていてもおかしくはないと思う。けれど、これが俺の気持……」
「変わってないよ!変わるわけない!……ずっと、私だって……」

勢いよく言う茅ヶ崎の目には、うっすら涙が浮かんでいた。

触れていいものか……
躊躇いながらも、こぼれ落ちて欲しくなくて、手でそっとすくう。

「茅ヶ崎、そんな顔ばかりさせてごめん」
「ううん……私が……」
「多分、これからも……俺は気持ちを読み取れなかったり、傷つけたり……変なこと言ったりしたりするかもしれない」
「ふっ……変なことって」
「女心ってやつは全くわからない自信がある」
「うん、知ってる」

「でもね、そういう三島くんを私は好きになったの」

そう言って茅ヶ崎はようやく笑った。
数カ月ぶりの笑顔で、好きという言葉。

……何か、グッと来るものがある。

「……茅ヶ崎。寒い中ごめん。けど……もう少しだけ一緒にいたい」
「うん……私も」

すっかり冷たくなってしまった茅ヶ崎の頬に触れる。

「……三島くん。嬉しいんだけど……ちょっとだけ恥ずかしい……かも。人の目もあって……」

そんな声に冷静になって周囲を見ると、仕事帰りの人が数人歩いていた。

こんな人通りのあるところで俺は……

ふっ……平塚に告白していた女子たちと一緒だな。
けれど、こんな俺らしくない俺も悪くない。

「い、嫌ってわけじゃなくてね!そこは誤解しないで欲しいっていうか……」
「ふっ……わかってる」
「この後……その、もう少し……」
「うん。駅の反対側のツリーの方とか行く?」
「行きたい!」

どんな俺でも彼女はいいって言ってくれるだろうから。
大切にしたい気持ちを込めて、小さくて温かい手を握る。


平塚、俺も変われそうだよ。