Natural Snow

その後、黛が戻ってくることは無く、順調に午後の授業も終わり、帰路に着いた。
うちの学校は委員会に所属することは義務だが、部活動に入るかどうかは自由だ。

私は母子家庭で、姉がいるけど働きに出ている。ゆっこも両親が自営業で忙しく、下に兄弟姉妹が3人いる。家に帰ってからもやることが多いので、部活動参加自由はありがたかった。2人とも特にやりたいことも無かったし、都合が良かったのだ。

帰宅中の話題はやっぱり黛と女子の件だ。
明日には噂として広まるだろう。けど、集まる女子が減って私たちとしては過ごしやすくなるんじゃないかな。

「黛くんの顔、鬼みたいだったねぇ〜、こぉ〜んなに目がつり上がっててさぁ。」
「あはは、それは誇張しすぎじゃない?」

ゆっこが、自分のタレ目を上に吊り上げて真似をする。似てなくて、ただの変顔になっている。
それが面白くて、今日あった出来事がただの世間話として消化されていく。明日からまた隣にいるであろうことを考えると気が重かったので、世間話にすることでだいぶ気持ちが晴れた。
そのまま話題は移り変わり、近づいているゴールデンウィーク中に遊びに行く話などをしていた。

「────なた〜ん......ゆか..〜」
「「ん?」」

後ろから聞き覚えのある声で呼ばれた気がした。
2人して振り返ると、とぉくの方からダッシュで近づいてくる明るい髪色の女の子がいた。

「...せーなーた〜ん!! ゆーかーり〜ん!!」
「よっしゃ!!ばっちこぉい!!」

物凄い勢いで突っ込んでくる彼女に合わせて、ゆっこがレスリングの選手のように構える。
私はそそくさ〜と端に避けた。

ッドォン!!「グエッ」 ドサッ!!

勢いに任せて抱きついてきたせいで、突っ込んできた彼女とゆっこが吹っ飛び、体の小さなゆっこはカエルのような悲鳴をあげた。