Natural Snow

いつもこうだ。登校してきても2時間目くらいまでほぼ机に寝ている。授業もあまり真面目に受けたりもせず、仲間とつるんでサボっていることが多い。その仲間も一緒に喧嘩してるとかなんとかで、あまりいい噂は聞かない。寝てるだけなら家にいたらいいのに…とは、思っていても口が裂けても言えないけど。

黛が寝始めたすぐ後に担任の先生が来てHRが始まった。今日は特に特別なイベントとかはないのですぐに終わって退室して行った。HRが終わったらすぐに授業だ。
1時間目の準備をしながら暗い気持ちになる私だった───。

私たちの通う「天野ヶ原学園」は、数年前にどこかの金持ちが、全ての若者に平等に学ぶ機会を!という、高尚な精神で建てたという噂がある。ホントかどうかは知らないけど。
だから、入学金や授業料が安かったり、部活動免除だったりする。
校則が緩くて、髪を染めたり制服を気崩していてもあまり注意されないのも、「学びたいことをきちんと学ぶ」ことができていれば許される。派手な髪色でも、テストの成績が良かったり、学校行事や委員会の仕事をきちんとしていれば大丈夫なのだ。
そんな学校だから、当然人気もすごい。この少子高齢化の時代に逆行するように、マンモス校と呼ばれる規模だ。1クラス40人ほどで、各学年10クラス。全校生徒1000人を超える学校はそう無いだろう。1000人越えともなると、美男美女も多いが、黛はその中でトップクラスに有名だった。

昼休み。何事もなく午前中の授業は終わった。
移動教室もなく座学ばかりだったので、黛もずっと爆睡していた。ここからが苦痛の時間だ。

「千景く〜ん一緒にご飯食べない??」
「え〜ずる〜い、あたしも〜!!」

女子たちが隣の席めがけ集まってくる。中には他クラスの女子もいるし、廊下に面した扉から一目見ようと覗きに来る女子もいる。一言でいうと、邪魔だ。圧に押されて早々に自分の席から離脱して、学食で食べる子に席を借りて別の場所に移る。

「さぁ本日も始まりました、黛千景 争•奪•戦!! 実況はわたくし、和田結花子でお送りいたします!!」

小さな声で集まった女子たちに聞こえないようにゆっこが実況する。
女子たちは相変わらず黛に夢中だ。

「さすがです黛選手、女子たちの黄色い歓声をもろともせずに無視を決め込んでおります!…おぉっとここで女子の睨み合いだぁ〜!どちらが黛選手の隣を陣取るのでしょうか!?」
「…女子ってこわぁ。」

黛は腕を枕に、机に突っ伏したまま無視を決め込んでいる。女子のうち2人は隣の席──私の席を狙って隙を伺っている。たった1人の為にここまでする女子がただただ怖かった。