運動できる格好に着替えて、伸ばしっぱなしの髪の毛はポニーテールにして、前髪はピンで目にかからないように留めた。いつもかけてるメガネも、運動には邪魔なのでコンタクトにした。玄関へ向かうと、晴大はグローブ2個とボール、バドミントンのラケットとシャトルを準備して待っていた。
そんなに持ってって、どっちもやる気なのか...
「遅いぞ!」
「あんたねぇ、そんなに持ってっても昼までに帰ってくるんだから、どっちかにしたら?」
「どうせ持ってくの俺なんだからいーの!行こうぜ!」
そう言ってルンルンと楽しそうに玄関を出ていく。
私も靴を履き替え外へ向かった。
目的地は、家のから歩いてすぐの公園だ。結構大きくて、上から見ると丸い形になっていて、敷地を囲むように桜の木が植えられている。一定の距離感で木の下にベンチが備え付けられており、敷地の端の方にまとまってブランコや雲梯などの遊具が設置されていた。真ん中は運動ができるように、広く整備された地面が見えていた。昔はよくそこで鬼ごっことかしてたっけ。
てくてくとふたりで歩いていくと、遊具がある側の入口に着いた。GWで休みだから、そこそこ人がいるだろうと思っていたけど、予想に反して先客は1組だけだった。
小学校3年生くらいの、多分男の子?が、ひとりでブランコを漕いでいる。背中側しか見えないが、なんとも寂しそうに感じた。
「あれ?あいつ確か...」
「晴大、友達?」
「いや、そこまでよく知らないんだ、あんまり学校来ないやつでさ。 名前は...なんだったっけな〜?珍しい苗字だったと思うんだけど...」
晴大はうーん...と唸りながら思い出そうとしている。
やんちゃ坊主の晴大だが、実は面倒見がすごくいいらしい。晴大には特に仲良しの親友2人がいて、その子たちが言うには、全校生徒の名前と顔をほぼ把握しているらしい。晴大の通う小学校は、晴大がちょうど入学する年に合併して、全校生徒約500人のかなり大所帯だ。それをどうやったらほぼ把握なんてできるのか甚だ疑問が、本人が言うには、「毎日通ってて放課後一緒に遊んだりしてるからだいたい覚えた!」との事だ。普通はそんなことできないが、実際にできているのだからある意味天才だ。中学生のような見た目と面倒見のいい性格、名前を覚えてくれるとなると、学校では大人気で、いい意味でのガキ大将として名を馳せているらしい。ホントかどうかは知らないが。
「ダメだ、思い出せねぇ。というかあいつ、ひとりで来たのか?」
「...いや、あそこのベンチに誰か座ってるから、お父さんとかかな?」
辺りを見渡すと、近くのベンチに上下グレーのジャージを来てダルそうに座っている人がいた。
ジャージのフードを目深に被り、顔がよく見えないが、口元やジャージという格好から、お父さんというよりお兄さんなのかもしれない。
「せなねぇ、あいつ誘っていい?」
「うん、もちろん。誘ってあげな〜」
ひとりでぽつんといることに、世話焼きな性格が刺激されたのか、遊びに誘うことにしたようだ。
早速声をかけに走って行ってしまった。
「なぁ、桜木山小のやつだろ?」
「!! う、うん」
「一緒に遊ぼうぜ!」
「...いいの?」
「あぁ、もちろん!!」
私も後からついていって、晴大と話しているその子の顔をようやく見た。
そこには、天使がいた。
(!?!?!?)
か、可愛すぎる!!! 色素の薄いふわふわの髪の毛、陶器のようなちゅるんとした肌、頬は話しかけられて興奮したのか薄くピンク色に上気している。
くりくりぱっちりな目に形のいい唇はうるうるだ。
落ち着け、私。どんなに可愛いからって、動揺して不審者になってはダメだ!!
そう言い聞かせて、至って平静を装った顔をした。
「晴大、怪我させないでね。えっと、君、お名前は?」
「ち、千尋(チヒロ)です!」
「あぁ〜そうそう!! 千尋だっけ!! 同い年だよな!!」
「僕のこと知ってるの?」
「まぁな!! 俺、晴大!! よろしくな!」
千尋くんは、私にも話しかけられて緊張したのか、オドオドしている。だがそれもまた、庇護欲を掻き立てる。なんかこう、無条件に守ってあげたくなるような感じだ。
ただ驚いたのは、晴大と同じく小学5年生なこと。千尋くんはパッと見は小学3年生とかぐらいに見えるし、声を聞くまでは女の子なのかな?とも思ったりした。
「晴大くん...僕も晴大くんのこと知ってる!有名人だよね! 桜木山小の「兄貴」って!!」
「俺ってそんなに有名人なのか!?」
「もちろん!! 僕、あんまり学校行ってないけど知ってるよ!! 」
おぉ、なんと弟はまじで有名人だったようだ。にしても、「兄貴」って...ダサ!! しかも末っ子のくせに兄貴!? なんかもう色々面白かった。
「千尋は今日父ちゃんと来てるのか?」
「ううん、あそこにいるのは兄さんだよ!」
「そうなのか、じゃあ兄ちゃんも一緒に遊ぶか!?」
「うーんどうだろ、兄さん、おっきいし力も強いから、怪我させるかもだからひとりで遊びなって言われたんだけど...」
「なーに言ってんだよ、遊んでたら怪我なんて当たり前だろ。 大丈夫だ俺ん家すぐ近くだから怪我したって!とりあえず誘ってくる! おーい兄ちゃ〜ん!!」
「ちょっと晴大!?」
あっという間に晴大はジャージ姿のお兄さんの所へ走っていってしまった。年の離れたお兄さんが小学生と遊ぶんでくれるのだろうか...?
千尋くんはちょっと心配そうだったけど、みんなで遊べるかもしれないという事に嬉しそうな顔をしていた。なにか事情があって学校もあまり行けないと言っていたし、友達と遊べるのが嬉しいのだろう。
お兄さんは、晴大が少し話すとしぶしぶといった感じで腰を上げた。
そんなに持ってって、どっちもやる気なのか...
「遅いぞ!」
「あんたねぇ、そんなに持ってっても昼までに帰ってくるんだから、どっちかにしたら?」
「どうせ持ってくの俺なんだからいーの!行こうぜ!」
そう言ってルンルンと楽しそうに玄関を出ていく。
私も靴を履き替え外へ向かった。
目的地は、家のから歩いてすぐの公園だ。結構大きくて、上から見ると丸い形になっていて、敷地を囲むように桜の木が植えられている。一定の距離感で木の下にベンチが備え付けられており、敷地の端の方にまとまってブランコや雲梯などの遊具が設置されていた。真ん中は運動ができるように、広く整備された地面が見えていた。昔はよくそこで鬼ごっことかしてたっけ。
てくてくとふたりで歩いていくと、遊具がある側の入口に着いた。GWで休みだから、そこそこ人がいるだろうと思っていたけど、予想に反して先客は1組だけだった。
小学校3年生くらいの、多分男の子?が、ひとりでブランコを漕いでいる。背中側しか見えないが、なんとも寂しそうに感じた。
「あれ?あいつ確か...」
「晴大、友達?」
「いや、そこまでよく知らないんだ、あんまり学校来ないやつでさ。 名前は...なんだったっけな〜?珍しい苗字だったと思うんだけど...」
晴大はうーん...と唸りながら思い出そうとしている。
やんちゃ坊主の晴大だが、実は面倒見がすごくいいらしい。晴大には特に仲良しの親友2人がいて、その子たちが言うには、全校生徒の名前と顔をほぼ把握しているらしい。晴大の通う小学校は、晴大がちょうど入学する年に合併して、全校生徒約500人のかなり大所帯だ。それをどうやったらほぼ把握なんてできるのか甚だ疑問が、本人が言うには、「毎日通ってて放課後一緒に遊んだりしてるからだいたい覚えた!」との事だ。普通はそんなことできないが、実際にできているのだからある意味天才だ。中学生のような見た目と面倒見のいい性格、名前を覚えてくれるとなると、学校では大人気で、いい意味でのガキ大将として名を馳せているらしい。ホントかどうかは知らないが。
「ダメだ、思い出せねぇ。というかあいつ、ひとりで来たのか?」
「...いや、あそこのベンチに誰か座ってるから、お父さんとかかな?」
辺りを見渡すと、近くのベンチに上下グレーのジャージを来てダルそうに座っている人がいた。
ジャージのフードを目深に被り、顔がよく見えないが、口元やジャージという格好から、お父さんというよりお兄さんなのかもしれない。
「せなねぇ、あいつ誘っていい?」
「うん、もちろん。誘ってあげな〜」
ひとりでぽつんといることに、世話焼きな性格が刺激されたのか、遊びに誘うことにしたようだ。
早速声をかけに走って行ってしまった。
「なぁ、桜木山小のやつだろ?」
「!! う、うん」
「一緒に遊ぼうぜ!」
「...いいの?」
「あぁ、もちろん!!」
私も後からついていって、晴大と話しているその子の顔をようやく見た。
そこには、天使がいた。
(!?!?!?)
か、可愛すぎる!!! 色素の薄いふわふわの髪の毛、陶器のようなちゅるんとした肌、頬は話しかけられて興奮したのか薄くピンク色に上気している。
くりくりぱっちりな目に形のいい唇はうるうるだ。
落ち着け、私。どんなに可愛いからって、動揺して不審者になってはダメだ!!
そう言い聞かせて、至って平静を装った顔をした。
「晴大、怪我させないでね。えっと、君、お名前は?」
「ち、千尋(チヒロ)です!」
「あぁ〜そうそう!! 千尋だっけ!! 同い年だよな!!」
「僕のこと知ってるの?」
「まぁな!! 俺、晴大!! よろしくな!」
千尋くんは、私にも話しかけられて緊張したのか、オドオドしている。だがそれもまた、庇護欲を掻き立てる。なんかこう、無条件に守ってあげたくなるような感じだ。
ただ驚いたのは、晴大と同じく小学5年生なこと。千尋くんはパッと見は小学3年生とかぐらいに見えるし、声を聞くまでは女の子なのかな?とも思ったりした。
「晴大くん...僕も晴大くんのこと知ってる!有名人だよね! 桜木山小の「兄貴」って!!」
「俺ってそんなに有名人なのか!?」
「もちろん!! 僕、あんまり学校行ってないけど知ってるよ!! 」
おぉ、なんと弟はまじで有名人だったようだ。にしても、「兄貴」って...ダサ!! しかも末っ子のくせに兄貴!? なんかもう色々面白かった。
「千尋は今日父ちゃんと来てるのか?」
「ううん、あそこにいるのは兄さんだよ!」
「そうなのか、じゃあ兄ちゃんも一緒に遊ぶか!?」
「うーんどうだろ、兄さん、おっきいし力も強いから、怪我させるかもだからひとりで遊びなって言われたんだけど...」
「なーに言ってんだよ、遊んでたら怪我なんて当たり前だろ。 大丈夫だ俺ん家すぐ近くだから怪我したって!とりあえず誘ってくる! おーい兄ちゃ〜ん!!」
「ちょっと晴大!?」
あっという間に晴大はジャージ姿のお兄さんの所へ走っていってしまった。年の離れたお兄さんが小学生と遊ぶんでくれるのだろうか...?
千尋くんはちょっと心配そうだったけど、みんなで遊べるかもしれないという事に嬉しそうな顔をしていた。なにか事情があって学校もあまり行けないと言っていたし、友達と遊べるのが嬉しいのだろう。
お兄さんは、晴大が少し話すとしぶしぶといった感じで腰を上げた。
