――その時だった。
遠くから、カツカツとヒールの音。のぞむくんがびくっと肩を震わせる。
防火扉が軋む。
次の瞬間、明るすぎる声が階下から響いた。
「望? まだ学校に残っていたの?」
のぞむくんの表情が一瞬で硬くなる。階段を上がる足音。そして、完璧な笑顔ののぞむくんの母親らしき女性。
のぞむくんの表情が、一瞬で強張った。
「最近帰りが遅いから、ちゃんと勉強しているか見に来たのよ。図書室にもいなかったし……
あら、クラスメイトと一緒だったのね。如月 明美と言います。よろしくね。」
非常階段に現れたお母さんは、完璧な笑顔を浮かべていた。
けれど、その瞳はちっとも笑っていなかった。のぞむくんのお母さんの独特な雰囲気に圧倒されていた。
「あ、一ノ瀬留那といいます、同じクラスで、のぞむくんと仲良くさせてもらっています」
と自己紹介をすると、のぞむくんのお母さんはにこっと会釈してからのぞむくんの方を向いて口を開いた。
「お母さん悲しいなあ。勉強するために、図書館にいるって聞いてたんだけど。こんなところでなにをしていたの?」
息が詰まった。
「ごめんなさい、お母さん。
僕が全部悪くて、一ノ瀬さんには関係ありません」
のぞむくんは深く頭を下げた。
呼吸が荒くなっていくのが分かる。
───私は何もできなかった。
遠くから、カツカツとヒールの音。のぞむくんがびくっと肩を震わせる。
防火扉が軋む。
次の瞬間、明るすぎる声が階下から響いた。
「望? まだ学校に残っていたの?」
のぞむくんの表情が一瞬で硬くなる。階段を上がる足音。そして、完璧な笑顔ののぞむくんの母親らしき女性。
のぞむくんの表情が、一瞬で強張った。
「最近帰りが遅いから、ちゃんと勉強しているか見に来たのよ。図書室にもいなかったし……
あら、クラスメイトと一緒だったのね。如月 明美と言います。よろしくね。」
非常階段に現れたお母さんは、完璧な笑顔を浮かべていた。
けれど、その瞳はちっとも笑っていなかった。のぞむくんのお母さんの独特な雰囲気に圧倒されていた。
「あ、一ノ瀬留那といいます、同じクラスで、のぞむくんと仲良くさせてもらっています」
と自己紹介をすると、のぞむくんのお母さんはにこっと会釈してからのぞむくんの方を向いて口を開いた。
「お母さん悲しいなあ。勉強するために、図書館にいるって聞いてたんだけど。こんなところでなにをしていたの?」
息が詰まった。
「ごめんなさい、お母さん。
僕が全部悪くて、一ノ瀬さんには関係ありません」
のぞむくんは深く頭を下げた。
呼吸が荒くなっていくのが分かる。
───私は何もできなかった。
