放課後、非常階段で。

秒針が2時を指す頃


「あ、そろそろ2時だ」

「え、そんなに経つのか」

のぞむくんの、少し名残惜しそうな声。
夜が深くなるにつれて、声も自然と小さくなる。
でも、不思議と切りたくなかった。

「じゃあ、そろそろ寝るか」

「うん……おやすみ、のぞむくん」

「おやすみ、るなちゃん。また明日」

そうのぞむくんが言い終わって、電話が切れた音が響いた。

通話が終わったあとも、余韻が残る。
画面を見つめたまま、しばらく動けない。

耳に残るのぞむくんの声、優しい笑い方、
さっき見た星の光。

全部がゆっくり、胸の奥に沈んでいって――

この時間を、誰にも取られたくない

そんな気持ちが、静かに芽生えていることに、私はまだ気づかないふりをしていた。