放課後、非常階段で。

お風呂上がり

部屋に入るとなぜか自然にスマホを手に取っていた。

「……電話しちゃおうかな」

そう思ったのは『さっきの友達として』という言葉がまだ胸に残っていたから。

思い切って着信音を鳴らすと、少し間を置いて応答が返ってきた。

「もしもし、るなちゃん?」

声はいつも通り落ち着いていて、少し眠そうだけど柔らかい。

「のぞむくん、今、大丈夫?」

「うん、ちょうど勉強終わったところ。どうした?」

彼の声が聞けて、心が少し緩む。

しばらくはお互いの今日のことを話す。

授業のこと、ちょっとした出来事、何でもない雑談。



「ねえ、るなちゃん、今どこ見てる?」

「いま?窓の外だよ、夜景がきれいで」

「そっか。こっちは暗いけど、空に星が少しだけ見えるよ」

窓を開けて空を見上げると、確かに小さな星がちらほら。こんな夜に、のぞむくんと話してるなんて不思議な感じがした。

「見えるよ星!少ないけど、きれいだね」

「うん、たまにこうやって空を見上げると落ち着くんだ」

少し間が空く。

二人で同じ空を見上げていて、声だけ。
なのに、なぜか距離が近く感じる。


「天体観測とか、してみたいな」

ぽつりと、のぞむくんが口に出す。

「たしかに、もっと近くで星見てみたいね」

沈黙の中、微かに風の音が混ざる。

普段は気づかない音や匂いが今日は特別に感じられた。その後は二人で星を探したり、星の名前を教えてくれたり。