放課後、非常階段で。

留那side───


一度話し始めると、止まらなかった。家のこと、感じている孤独、そして、望くんがこうしてそばにいてくれることへの感謝。

「望くんも大変なのに、こうして話を聞いてくれてありがとう。私、自分のことばっかりでごめんね」

望くんは黙って私の話を聞いていた。

「……るなちゃん」

望くんが、私の手をそっと握った。
その手は少し冷たかったけれど、
握る力は温かく、安心できた。

望くんは私の目を真っ直ぐ見ると、
彼の瞳に優しさが滲んでいた。

「一人で辛い時は、いつでも電話かけて俺に話して。
俺も、るなちゃんの話を聞くと元気が出るから。
友達だからこそ、言えることってあると思うんだ」

望くんの言葉は飾らない望くん自身の本当の声だった。

私は望くんの温かい手を、そっと自分の方へ寄せた。
望くんは、私が落ち着くまでずっと、
優しく手を握ってくれていた。


「……ありがと、のぞむくん」


「どういたしまして、これからも相談乗るからね」

一つ疑問が浮かんだ。

「……でもさ、ずっと電話して成績下がったらおこられない?」


「だいじょ...だいじょばないかも笑

一緒に勉強、してくれる?」


と、ふたりの間に笑いが生まれる。非常階段に流れる冷たい風も、なんだか心地よく感じられた。

この場所で、私たちは友達として、お互いの気持ちに寄り添うことができた。

これからも、きっと大丈夫。そんな風に思えた。