偽りのお見合いだとバレたのに、溺愛されています

ーおかしい。

百合子の話だと、
他のお見合いだと相手の男性が、
橘さんに怖がってしまい、話さえ殆どできなかったと言っていた。

それなのに榊さんなそんな様子がなく、
笑顔でどんどん話し掛けてくる。

私はこんなに話し掛けられる想定をしてなく、頭の中でパニックになっていた。

入口にいる橘さんを見てみると、
強面ではあるものの、
この前百合子とランチしたときに、
私が『お見合い?』と大声で発言したときのように睨むような表情はない。

いつも通りの表情にみえる。

ーもしかして…
百合子が他の男性と話しているのが嫌で睨んでただけで、
私相手だと睨まないから怖くないのでは!??

橘さんが百合子を好きなのではという気持ちはあったものの、
百合子を振ったと聞いていたし、
私の勘違いかと思っていた。

でも、やっぱり橘さんも…

そんなことを頭で考えていると、
「あの…、百合子さん?」と榊さんに話し掛けられていたことに気づいた。

「あ、すみません」

ー橘さんと百合子のことも気になるけど、
ここはお見合いに集中しないと…

「大丈夫ですよ。
百合子さんはお仕事お忙しいですか?」

ー正直百合子との付き合いは長いため、
百合子の好きな食べ物や趣味を聞かれても答えられた。

けど、仕事についてはバリバリ働いていることしかしらないんだよな…

「はい。最近は忙しくて…
榊さんはどうですか?」

とりあえず話を拡げられると困るので、
榊さんに話を振ることにした。

「私も仕事忙しいです。
最近は新しいブランドを出そうと思っているのですが、部下と意見が合わなかったりして…」

「えっと、美容系の会社ですよね?」

○○会社なら、
私も知っている化粧品やコスメなど幅広く取り扱いしている会社で、
私もたまたまいくつか愛用しているものがある。

「そうです。
あっ、このお見合いの場で申し訳ないのですが、会社以外の女性の意見を聞いてみたくて…
良かったらお話聞いてもらえませんか?」

「は、はい。」

百合子としての意見ではなく、
女性としての意見なら私でもできるかな…
ドキドキしながら答えた。